■これまでのあらすじ
鋭斗の人生は順風満帆だった。人望が厚く、順調に出世を続け、すべてが計画通り進んでいると思われたはずが、それを乱すように妻が家を出て行ってしまった。20年前、自分にふさわしい女と結婚して子どもを持つために目を付けたのが絵美だったのだ。
鋭斗の人生は順風満帆だった。人望が厚く、順調に出世を続け、すべてが計画通り進んでいると思われたはずが、それを乱すように妻が家を出て行ってしまった。20年前、自分にふさわしい女と結婚して子どもを持つために目を付けたのが絵美だったのだ。













食事会で初めて見た瞬間「いいな、俺の隣にいるのにふさわしい女」と思った。素材がいいのに地味。聡明そうだが、生意気ではない。
話しかけると、彼女は丁寧だった。でも距離があった。その後、食事に誘っても社交辞令しか返ってこない。
「まさか俺に興味ないのか」——初めて焦った。
ある日、社内で大きな損失問題が発生する。担当者は、絵美の父…?
父親には家族がいる。守るべきものがある。
「自分が動けば、処分を軽くできるかもしれない」と言って、そしてその延長線上で、こう続ける。
―もし縁があるなら、絵美さんを任せてほしい。
これは「取引」じゃない。合理的で、誰も損をしない提案で、俺はただ“選択肢を提示しただけ”だ。
「あの時も絵美は最初戸惑っていた」本来いるべき場所に戻れば、すべては正しく収まるはずなんだ…。
イラスト:まりお