【ワシントン時事】11月の米中間選挙をにらみ、一部州を舞台に展開されてきた連邦下院小選挙区の区割り変更の応酬が21日、南部バージニア州で実施される住民投票で節目を迎える。一連の動きは、与野党いずれかに有利となるよう選挙区を操作する「ゲリマンダー」との批判を浴びてきた。中でも、事実上、野党民主党主導の区割り変更の是非を問う今回の住民投票は、選挙前で最大の「決戦」となる公算が大きい。
◇「正しいこと」か「分断」か
投票まであと10日となった土曜日の11日、バージニア州北部フェアファクス郡アナンデールにある郡出張所には、期日前投票のため住民が相次いで訪れていた。駐車場の特設テントに陣取り、賛成を呼び掛けていた女性は「投票を促している。みんなに正しいことをしてもらいたいから」と淡々と語った。
数十メートル離れた建物の入り口近くでは、地元から共和党候補として出馬を目指すトニー・サビオ氏が、反対を訴えるチラシを配っていた。同氏は、変更されれば地元区の面積が大幅に拡張され、非人口密集地の有権者の意見が反映されにくくなると主張。「私が目指しているのは住民の分断ではなく、団結だ」と強調した。
ゲリマンダーは通常、10年ごとの国勢調査に合わせた区割り見直しの際に焦点となる。だがトランプ大統領は昨年、次回2030年の国勢調査を待たずに、南部テキサス州の区割りを与党共和党に有利になる形で変えるよう要求。民主党は報復として、自党の勢力が強い西部カリフォルニア州などで同様の変更を実現させた。
◇共和の優位帳消し
ニューヨーク・タイムズ紙の分析によると、テキサス州を皮切りにした「区割り戦争」では、現時点で共和党が民主党より多くの議席を上積みする見通し。これに対し、バージニア州の区割り変更が認められれば、民主優勢6、共和優勢5という州内の選挙区情勢は、民主10、共和1という構図に変わる可能性がある。全米レベルで共和党が積み上げてきた優位を帳消しにできる計算だ。
バージニア州では、昨年11月の州知事選で民主党候補が圧勝するなど、同党に勢いがあるとされる。しかし、党派的思惑に基づく区割り変更を巡っては、同党支持者の間でも賛否は分かれる。ワシントン・ポスト紙などが今年3月に実施した世論調査では、賛成票を入れると答えた投票予定の有権者は52%で、反対も47%に達した。
また、区割り変更の手続きの適法性を巡る訴訟が続いており、住民投票後も若干の不透明感は残る。
〔写真説明〕米南部バージニア州の住民投票の期日前投票が行われているフェアファクス郡出張所=11日、同州アナンデール
〔写真説明〕米南部バージニア州アナンデールのフェアファクス郡出張所で、駐車場に止められた住民投票への賛成を呼び掛けるための宣伝用トラック=11日
〔写真説明〕米南部バージニア州アナンデールのフェアファクス郡出張所で、取材に応じるトニー・サビオ氏=11日