【ニューヨーク時事】核軍縮や核不拡散に向けた取り組みを協議する核拡散防止条約(NPT)再検討会議が27日、ニューヨークの国連本部で開幕する。議長を務めるベトナムのドー・フン・ビエット国連大使が17日、一部メディアの取材に応じ「何らかの成果文書を加盟国の総意で採択し、NPTへの積極的な関与を再確認する必要がある」と強調した。
NPT再検討会議は過去2回連続で交渉が決裂し、成果文書を採択できなかった。ビエット氏は、今回も合意形成に失敗すれば「NPT体制の信頼性に深刻な打撃を与え、国際社会の集団安全保障を危険にさらす」と危機感を表明。NPT体制が弱体化し、核拡散のリスクを高めると警鐘を鳴らした。
NPT体制を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている。2022年の前回会議では、ロシアが侵攻するウクライナに関する記述に反対し、文書採択を阻んだ。侵攻は終結しておらず、米ロ間で唯一残っていた核軍縮の枠組み「新戦略兵器削減条約(新START)」も今年2月に失効。米イスラエルによる攻撃を受けたイランはNPTからの脱退を示唆している。
ビエット氏は、今回の会議が「これまでで最も困難な状況下での開催になる」と指摘。一方で「だからこそ信頼を再構築し、建設的な対話に取り組む機会になる」とも述べた。また、米イランの和平交渉の進展が「会議(の成否)に大きな影響を及ぼす」との認識を示した。
日本の役割については、広島、長崎の被爆の経験が「かつてなく強い意味を持つ」と訴え、唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界の実現に向けた軍縮議論の主導」に期待を寄せた。日本からは5月22日までの会期中、広島県知事や広島、長崎両市長、被爆者団体などが参加を予定している。
〔写真説明〕17日、米ニューヨークで取材に応じるベトナムのドー・フン・ビエット国連大使