中東情勢、地域交通にも影=「生活の足」確保、長期化懸念―バスやフェリー

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 中東情勢の悪化による燃料費高騰の影響が、地域交通にも広がっている。公営バスの軽油調達で入札不調が相次ぐほか、離島への定期フェリーの運航会社からは5月分の重油確保の見通しが立っていないとの悲鳴も上がる。バスや船は生活の足として欠かせない移動手段だが、事態が長期化すれば減便や値上げに踏み切らざるを得なくなる。
 原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の事実上の封鎖で、バス・トラックの燃料となる軽油や船舶燃料の重油は価格が急騰、一部で供給制限の動きも見られる。政府は石油元売り各社に補助金を支給し価格を抑制するとともに、供給の目詰まり解消へ動くが、不安払拭には至っていない。
 佐賀市交通局によると、市営バス向けの軽油は4~6月分の入札が不調で、随意契約で毎週確保している状況だ。燃料費は約5~6割上昇しており、担当者は「現在の状況が続けば運営が難しくなる」と懸念する。
 北海道稚内市と利尻島や礼文島を結ぶ「ハートランドフェリー」は、運賃に上乗せする燃油サーチャージを4月から導入した。島外からの利用客に課すほか、生活物資などを運ぶトラックも対象となるため、「島の物価に多少の影響が出る可能性はある」(同社)という。
 鹿児島市と、種子島や屋久島を結ぶ「フェリーはいびすかす」は、7月をめどに大人1人当たりの運賃を約2~5割引き上げる方針だ。人件費や資材費の高騰でもともと値上げは検討していたというが、中東の緊迫化が長引けばさらなる値上げを迫られる恐れもある。
 運航会社の担当者は「客離れの可能性もあるが、会社を守らずに撤退すればお客さんは大迷惑だ」と運航継続を巡る苦しい胸の内を吐露。5月分の重油がどれくらい確保できるかの見通しが立っておらず、「(将来的には)運航を減らさないといけないかもしれない」と不安を隠さない。実家に戻るため月1~2回利用している種子島在住の20代男性は「(鹿児島市方面に来るには)飛行機か船しかない。減便や値上げは困る」と表情を曇らせた。
 新潟県内を運行する高速バス「ときライナー」は、利用者の減少や近年のエネルギー価格高騰を背景に、4月に平均約9%の値上げを実施。厳しい事業環境の中、中東情勢の動向を注視する。 
〔写真説明〕鹿児島市と種子島、屋久島間を運航する「フェリーはいびすかす」=13日、鹿児島市