フランスが、主力戦車ルクレールの代替となる暫定的な解決策の検討を進めていると、フランス国内メディアが報じています。その理由はMGCSの遅延にあるようです。
ここにきて問題が深刻化か?
フランスが、主力戦車ルクレールの代替となる暫定的な解決策の検討を進めていると、フランス国内メディアが報じています。
この件は、カトリーヌ・ヴォートラン軍事相が2026年4月10日に明らかにしたもので、本来ルクレールの後継となるはずだったメイン・グランド・コンバット・システム(Main Ground Combat System:MGCS)の大幅な遅延を受けたものです。
MGCSは当初、2030年代後半の配備開始を目指していましたが、現状では2040年代までずれ込む見通しとなっています。一方、ルクレールは2030年代後半に退役予定であるため、その間の空白期間を埋める必要があります。
この代替車両については、フランスのネクスターとドイツのKMWが統合して誕生した合弁グループであるKNDSが開発を担う可能性があります。報道によれば、ドイツ側の車体にフランス側の砲塔を組み合わせる構成が検討されているとの情報もあります。
なお、ルクレールの生産ラインはすでに閉鎖されています。そのため、追加生産やアップグレード車両の製造は困難であるとみられます。
一方ドイツも、MGCSの遅延による空白を補うため、「レオパルト3(レオパルト2AX)」と呼ばれる次世代戦車の開発を進めているとされています。
結局別々に戦車を開発する可能性も…
MGCSは立ち上げ当初から大きな困難に直面しています。まず、開発に関わる企業の一つであったラインメタルが、資金負担割合の調整が進む中で、独自に新型主力戦車KF51「パンター」を開発。これが抜け駆けだとして物議を醸しました。さらに、KNDSを設立したKMWとラインメタルの間で「レオパルト2」の知的財産権を巡る問題も発生。同問題が法廷に持ち込まれるなど、事態はさらに紛糾しました。
知的財産問題で和解が成立した後の2023年12月には、イタリアのレオナルドがMGCS開発への参加意向を示しましたが、後に決裂。最終的に、契約を結んだ4社体制で開発が進められることになりました。
そもそもMGCSは、従来の単一の主力戦車ではなく、複数の有人戦闘車両とUGV(無人車両)を組み合わせた陸上戦闘システムの開発プログラムです。
中核となる有人戦車についても、130mm砲と140mm砲のいずれを主兵装として採用するかで意見が分かれています。ドイツとフランスでは砲に対する運用要求の差が大きく、現時点でも結論には至っていません。
どちらの砲を採用するかによって、弾薬、装填装置、さらには車体設計まで大きく変わるため、早期の決定が求められています。しかし、フランス側がドローンやネットワークを活用した戦闘システムの中核として有人戦車を位置づけているのに対し、ドイツ側は欧州大陸における高強度機甲戦を重視しており、両者の溝は依然として埋まっていません。
場合によっては、この暫定案から発展した戦車が、将来的に両国それぞれのMGCSの中核となる可能性もあります。