近年は「緑色」から「白黒」へ? 最新技術で変わりつつある「闇夜の視界」の秘密
人間の目は「緑」に敏感! わずかな色の違いを見分けるための必然
ミリタリー映画やドキュメンタリー番組などで、暗闇の中を映し出す「ナイトビジョン(暗視装置)」の映像を見たことがある人は多いでしょう。その多くは、独特な「緑色」の世界として描かれています。なぜ赤や青ではなく、緑色が選ばれているのでしょうか。
その最大の理由は、人間の目が持つ生理学的な特性にあります。人間の目は緑のトーンに敏感で、ほかの色より多くの「緑の濃淡」を見分けられるため、暗視装置の表示色として緑が選ばれてきたとされています。
暗闇で作戦行動を行う際には、対象が「どのような形か」「動いているか」を瞬時に判断しなければなりません。人間は多くの濃淡を区別できる緑色を使うことで、わずかな影の変化から敵や障害物を捉えやすくなるのです。
これには、人間の目が光を捉える感度のピーク(波長)も関係しています。明所視のピーク(約555nm)は緑付近ですが、暗所視のピーク(約515nm)は青緑側に寄ります。暗視装置が緑系の表示を採用してきた背景には、こうした視覚特性も関係していると説明されています。
また、技術的な歴史も影響しています。暗視装置(イメージ増倍式)では、増幅した電子を「蛍光体」スクリーンに当てて像を再び光として表示します。一般的な方式では、この表示が緑系になると説明されています。
さらに、緑表示は「長時間でも見やすい」「頭痛が出にくい」といった理由で語られることもあり、実用面で支持されてきた面もあります。
最新型は「白黒」が主流に? より自然な視界を求める進化のゆくえ
長らく「緑色」が常識だった暗視装置ですが、近年は従来の緑色に加えて「白色蛍光体(ホワイトフォスファ)」を採用したモデルも広がっています。
白黒に近い表示は、夜間の光景がより自然に感じられ、形状や影の情報が増えることで、コントラストや奥行き(深度)の認識に利点があるとされています。また、白色蛍光体は、従来の緑色より「コントラスト」や「深度認識(距離感)」の面で利点があると説明されており、状況把握に役立つとされています。
現在、白色蛍光体モデルは、米特殊作戦部隊向けに支給が進んでいるともされ、従来の緑色モデルと併存しながら運用されています。もちろん、これまでの緑色モデルがすべて消えるわけではありません。用途や部隊、装備の体系によって、現在も白色と緑色が使い分けられているのです。
かつては目の感度を優先して「緑」が選ばれましたが、技術の進歩によって、より人間に近い自然な「白黒」の視界へと進化を遂げています。次に映画やニュースで暗視映像を見たときは、その色が「緑」か「白」か、注目してみると技術の世代がわかるかもしれません。