「マイル修行僧」なんていつ出てきた? 創業100年の米航空大手が生んだ2つの「世界初」 札束積んでも届かなかった世界とは?

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アメリカの航空大手、アメリカン航空が2026年4月に創業100周年を迎えます。同社は、今や航空業界で当たり前になった2つのサービスを世界で初めて導入したパイオニアです。

チーフパイロットはあのリンドバーグ 100周年迎える米航空大手

 日本にも乗り入れているアメリカの航空大手、アメリカン航空が2026年4月15日に創業100年を迎えます。地域航空ブランド「アメリカン・イーグル」を含めて60以上の国と地域、計350以上の目的地との間で1日当たり数千便を運航しています。

 ハブ(拠点)空港は、本社が近くにある南部テキサス州のダラス・フォートワース、東部ニューヨークのジョン・F・ケネディ、ペンシルベニア州フィラデルフィア、首都ワシントンのロナルド・レーガン、ノースカロライナ州シャーロット、フロリダ州マイアミ、中西部イリノイ州シカゴ、西部アリゾナ州フェニックス、カリフォルニア州ロサンゼルスの各空港に置いています。

 同じ航空連合「ワンワールド」の日本航空(JAL)と太平洋路線の共同事業を手がけており、自社の航空機を使って羽田空港とはケネディ、ロサンゼルス、ダラス・フォートワースとそれぞれ結ぶ路線、成田空港―ダラス・フォートワース線をそれぞれ運航しています。航空機はボーイングの大型機777や中型機787、エアバスの小型機A320シリーズ、ボーイングの小型機737などを抱えています。

 アメリカンは合併を繰り返して規模を拡大しており、創業と位置づけているのが、旧ロバートソン・エアクラフト・コーポレーションによるシカゴ―中西部ミズーリ州セントルイス間の郵便定期便事業です。プロペラ機DH-4を使い、事業に乗り出したのが1926年4月15日のことでした。

 ここでチーフパイロットとして所属していた故チャールズ・リンドバーグ氏は1927年、プロペラ機「スピリット・オブ・セントルイス」でニューヨーク―パリ間の大西洋単独無着陸飛行に初めて成功しています。

 アメリカンの国際セールス担当マネージングディレクターのサイモン・ホーキンズ氏は「2026年はアメリカンにとって非常に歴史的な年になる。4月に100周年を迎え、サッカーの国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップの北米地区の公式エアラインにも任命されています」と訴えます。

 同社は、今や航空業界で広く普及している2つの「世界初」を生み出しました。

百貨店がヒント「マイル修行」の起源はアメリカン航空

 一つ目は、今では主要航空会社で当たり前になっているマイレージプログラムです。会員になると航空便利用などでマイルが加算され、獲得したマイルに応じて航空券などに交換したり、会員ランクが上昇して特典が広がったりする仕組みです。上級会員の資格を得たり、維持したりすることを目的に航空便を使う「マイル修行」なる現象も起きています。

 マイレージプログラムの先駆けとなったのが、アメリカンが1981年5月1日に導入した「AAdvantage」(読み方は「アドバンテージ」)と呼ばれるプログラムです。

 アメリカのデパートで買い物客がスタンプを集めるとカタログ商品と交換できるポイント制度が人気を集めているのをヒントに発案し、アメリカンは「現在は誰でも入会できるが、当初は招待制で会員を集めていた」と説明します。当初はマイルを集めた場合の景品として「アメリカンの全ての渡航先から選ぶことができるファーストクラス航空券などを用意していた」そうです。

 すぐに競合も対抗します。アメリカンの「アドバンテージ」が産声を上げたわずか5日後の1981年5月6日、現在は全日本空輸(ANA)と同じ航空連合「スターアライアンス」に加盟するユナイテッド航空がマイレージプログラム「ユナイテッド・マイレージ・プラス」を導入。デルタ航空も同じ81年に「フリークエント・フライヤー・プログラム」を採り入れ、95年には名称を現行の「スカイマイル」に変えています。

 日本の航空大手では、ANAが1993年に国際線だけのマイレージサービス「Program A」を開始し、97年に国内線に対象を広げた現行サービス「ANAマイレージクラブ」を発足させました。

 一方、JALは1983年11月にアメリカで導入したマイレージプログラム「JALマイレージバンク・USA」を手始めに、日本でも国際線利用者に対してマイルに応じて旅行券などを贈呈するキャンペーンを経て「JALスカイプラス」を1993年11月に制度化。96年10月に「JALマイレージバンク(JMB)」へ改称し、97年4月にはJMBの対象を国内線にも広げました。

 マイレージプログラムを導入している航空会社は同じ航空連合の他社とのマイレージ提携や、ホテルの宿泊、飲食店やレンタカーの利用などでもマイルをためられるようにする他業界との「ノンエア提携」も進めてきました。

当初は“札束を積んでも”入れなかった!? 空港ラウンジの元祖

 アメリカンが航空業界で先鞭をつけたもう一つの「世界初」は、空港のラウンジです。ニューヨークのラガーディア空港に1939年開設した「アドミラル・クラブ」がルーツです。

 アメリカンは現在もこの名前のラウンジを展開。軽食やスナック、飲み物を提供しています。室内には忙しいビジネスマンがパソコンで仕事ができるように電源を備えたテーブルといす、シャワーなども備えています。利用できるのはアメリカンの国際線ビジネスクラスの利用者や、「アドバンテージ」の上級会員などです。

 これは他の航空会社も同様で、航空機の上級クラスの利用者や、マイレージプログラムの上級会員になるのも、平たく言えば“札束を積めば”実現できます。しかしながら、アメリカンはアドミラル・クラブを設けた当初は「著名人や要人といった選りすぐりのVIPだけが入室を許される招待制の社交空間だった」と解説します。

 航空業界を変えたと言っても過言ではない二つのサービス導入で新風を吹き込み、創業100年の節目を目前に控えたアメリカン。ところが、有力紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が2026年1月に発表した「2025年のベスト・アンド・ワーストの航空会社」ランキングで評価が最下位だったのはアメリカンと、アメリカの超格安航空会社(ULCC)フロンティア航空でした。

 ホーキンズ氏は「私たちは2026年という大きな節目を迎えて顧客体験向上に向けて積極的に投資を進めており、『アドバンテージ』会員向けに2026年1月から機内のWi-Fiサービスを無料化するとともに、機内とラウンジで(イタリアのブランド)ラバッツァのコーヒーの提供を始め、(高級シャンパーニュ)『シャンパーニュ・ボランジェ』も用意する」と意気込みます。サービス向上などで評価を浮上させることが問われています。