米国とイランによる2週間の停戦合意では、ペルシャ湾内に取り残された日本関係船舶42隻が湾外に脱出できるかが焦点となる。イランはエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡について、軍との調整の上でその期間に安全に通航できると表明。ただ、現時点で具体的な方法は不明で、海上輸送を担う海運会社の不透明感は拭えないままだ。
海運事業者の業界団体、日本船主協会は「取り残されている船が一刻も早く出られるなら喜ばしいが、動向を注視している」(広報)と述べた。42隻がすぐに海峡を通過できると考えるのは早計だ。イランのアラグチ外相は「イラン軍の調整の下、技術的制約を考慮した上で可能になる」とSNSに投稿。これを見た海運関係者は「通航に当たっての確実かつ具体的な情報がない」と嘆いた。ある事業者は「変化はない」と断言した。
2週間の猶予は、通常であれば湾外に出るために十分な期間と言える。42隻のうち最も多いのは原油タンカーで12隻。日本向けの原油を積んでいるとすると国内消費量10日分程度に相当する。液体化学製品を運ぶケミカルタンカーや自動車運搬船のほか、液化天然ガス(LNG)船や石油製品を積むプロダクトタンカーも確認されている。
だが、海運会社だけで脱出の判断はできない。貨物積載の有無や針路は船ごとに異なり、仮に安全に通過できる環境が整ったとしても、輸送契約について荷主と協議する必要がある。現状ではホルムズ通航の条件が判然としないため、「話し合うための材料すらない」(関係者)状態だ。商船三井は「引き続き船員、貨物、船舶の安全確保を最優先に対応する」とコメントした。