リアガラスが割れちゃった! でも“雑な応急処置”で走っていいの? 「なんか怖い」「違反じゃないのか」 弁護士の見解とは

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リアガラスが割れてしまったのか、ブルーシートやゴミ袋などでボディ後部を覆い、応急措置をして走っているクルマを見かけることがあります。クルマはガラスが割れたまま公道を走ってもいいのでしょうか。弁護士に聞きました。

「後ろのガラスがバリーン!」走っていいの?

 リアガラスが割れてしまったのか、ブルーシートやゴミ袋などでボディ後部を覆い、応急措置をして走っているクルマを見かけることがあります。果たしてクルマは、リアガラスが割れたまま公道を走ってもいいのでしょうか。また車体の一部が壊れたクルマは、どこからが法的な「整備不良」に当たるのでしょうか。

 この疑問について、弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に聞いてみました。

 正木弁護士は「結論から言うと、『壊れている=直ちに違法』とは限りません。ただし壊れ方や場所によっては、整備不良車両として違法となる可能性があります」と説明します。

「整備不良車両の運転は、道路交通法62条によって禁止されています。この法律でポイントとなるのは『壊れ方が安全上の基準(保安基準等)に適合しない状態か』『現実的に他人へ危険を及ぼす恐れがあるか』という部分の判断です。

 例えばブレーキや操舵装置、タイヤなどの損耗や損傷、前照灯・制動灯・方向指示器といった灯火類や、ワイパー・ミラーなどの機能不全、シートベルトの著しい不良などの故障は、安全確保へ大きな影響を及ぼします。当然、実務上も取り締まり対象になりやすく、違法という評価に傾きやすいです。

 他方、安全に走行するうえで支障のない小さな外装の傷や凹み、内装の軽微な破れのように、そこから直接危険が発生しない不具合は、同じ“壊れている”状態であっても、直ちに違法であるとは評価されにくいと言えます」(正木弁護士)

 では、リアガラスが割れてしまったクルマの場合は、どのように判断されるのでしょうか。正木弁護士は「それは程度問題です。その故障が歩行者や他車に危険を及ぼす、あるいは及ぼす可能性があるとなると、評価は厳しくなります」と解説します。

「例えば破片飛散の危険だけでなく、『開口部から雨風が入り、視界が曇る』『走行風でシートがはためき、視認性や周囲への安全を損なう』『固定が甘く、走行中にめくれ上がって他の運転者を驚かせる』『シートが飛散して事故を誘発する』などのケースは明らかに危険でしょう。つまり一口にガラスが割れているといっても、危険性の度合いによって法的・実務的な結論は変わる、というのが正確な表現です」(正木弁護士)

リアガラスが割れた時の「最善策」とは

 さらに正木弁護士は、リアガラスが割れたまま走るクルマについて「大切なのは視界確保や部品などの飛散防止、乗員保護など『そのクルマが本来満たすべき保安性を満たしているかどうか』です」とも語ります。

「クルマには必ずリアガラスがないといけない、と判断するのは適切ではありません。オープンカーや、後部が金属パネルで作られた貨物車など、世の中には“リアガラスがないクルマ”もたくさん存在します。

 しかし、『本来リアガラスが付いている』のに、リアガラスが欠落して、その部分をブルーシートなどで覆っている場合は、もともとの状態で確保していた安全性が損なわれているため、整備不良であると捉えられやすいでしょう。また、公道を走るクルマには、一定以上の後方視界の確保が求められています。リアガラスの破損や応急処置でこれが損なわれている場合は、厳しい評価を受けるでしょう」(正木弁護士)

 また、正木弁護士は「もちろん運転者側にも事情があるでしょう。『雨が降っている』『荷物がある』『仕事や生活の都合がある』『近くの工場まで数キロだけ移動したい』、その切実さはわかります」と心理的な要因を分析する一方、「だからといって、法律の上で免責されるわけではありません」とも強調します。

「割れたリアガラスをブルーシートで覆うといった応急処置は、静止している時は一見なんとかなるように思えても、実際に運転し、走行風が加わった瞬間に状況が一変しかねません。結局、事故になれば被害が拡大しやすく『危険とわかっていたのに、なぜ走ったのか』と評価され、非難されます」(正木弁護士)

 最後に、正木弁護士は「壊れ方が客観的に大きい場合は、クルマを“動かさない”という判断が最も安全で、現実的に最も揉めにくい選択です」と結びました。「任意保険やJAFのロードサービスなどで運搬できる場合もあるので、迷ったら『自力でどう走らせるか』より『運搬してもらえるか』を検討するのが、一番合理的」だと話します。