有罪が確定した裁判をやり直す再審制度の見直しを巡り、自民党の法務部会と司法制度調査会は3日、党本部で合同会議を開き、政府が提出を検討している刑事訴訟法改正案の事前審査に入った。再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)を残す内容に異論が相次ぎ、了承の見通しは立っていない。
冒頭、司法制度調査会の鈴木馨祐会長(前法相)は「拙速に決めるつもりはない。各論点について議論を深める」と発言。合同会議は1時間の予定が2時間半に及び、怒号が時折飛び交った。
出席した議員によると、発言者の大半が「冤罪(えんざい)救済の妨げになる」「機械的・画一的な抗告がなされている」などと指摘し、検察官抗告を禁止すべきだと主張。「法制審議会(法相の諮問機関)の議論を尊重すべきだ」として、検察の不服申し立てを維持する政府案を支持したのは1人にとどまった。専門家や冤罪被害者を合同会議に招き、意見を直接聴くよう求める声も上がった。
検察官抗告は救済を遅らせる要因として長年問題視されてきた。再審制度見直しの機運を高める契機となった1966年の静岡県一家殺害事件では、2014年に静岡地裁が袴田巌さん(90)の再審開始を決定したものの、検察側が即時抗告したことで実際に再審公判が始まるまでに9年7カ月もの歳月を要した。
こうした背景から、法案作成に先立つ法制審では、日弁連推薦の弁護士の委員2人が抗告禁止を強く訴えた。しかし、容認の立場を取る学者や検察官の委員と折り合わず、部会長を除く委員13人のうち10人の賛成多数で禁止規定の導入を見送る要綱案が決定された。
自民は6日にも再び合同会議を開き、議論を続ける。証拠開示のルール化、開示された証拠の目的外使用に対する罰則規定も取り上げる見通しだ。
メンバーの一人は「閣議決定前に(法案の修正を)取りにいく」と強調。別の議員も「安易に部会長一任とならないよう全力を尽くす」と語気を強めた。政府は7日にも法案を閣議決定し、国会に提出することを目指していたが、先行きは不透明となった。
〔写真説明〕自民党法務部会・司法制度調査会の合同会議で発言する鈴木馨祐前法相=3日午後、同党本部
〔写真説明〕記者団の取材に応じる再審制度見直しに関する超党派議員連盟会長の柴山昌彦元文部科学相(中央)=3日午後、東京・永田町の自民党本部