冬眠明けとみられるクマの出没が北海道や東北で相次いでいる。岩手県では3月下旬、例年より早く「出没注意報」が出された。クマによるけが人も出ており、自治体が注意を呼び掛けている。
環境省によると、クマによる2025年度の被害者数は2月までに237人(速報値)に上り、過去10年で最多を記録。死者数は北海道や東北を中心に計13人(同)で、初の2桁となった。
クマは一般的に3月以降冬眠から覚める。冬眠明けには餌を求めて活発に行動し、気が立っている場合も多いとされ、注意が必要という。
岩手県宮古市の岩神山では3月8日、登山コースから外れた団体職員の男性(69)が歩行中に雪穴に落ちた際、クマに遭遇。左ふくらはぎをかまれて軽いけがをした。
こうした事態を受け、県は同24日、例年は4月以降に出す「出没注意報」を発令。担当者は「目撃情報が多く、人身被害も発生したことから例年より早く注意報を出した。クマに遭遇した場合は、背を向けて逃げないなど冷静に行動してほしい」と話す。
クマの出没は岩手以外でも。青森県では出没情報が3月だけで約20件に上り、県は今月1日から注意報を出している。札幌市中央区の住宅地では3月26日、散歩中の女性が体長1.5~2メートルのクマを目撃。クマは山中から市道を横切り、林の中に入った。付近には住宅や児童公園もあり、北海道警はパトロールを強化した。
秋田県北秋田市でも3月24日、田んぼで体長約1メートルのクマが目撃された。山形県酒田市では同25日朝、住宅敷地内に体長約1メートルのクマが出て倉庫に居座ったため、市は緊急銃猟を実施し駆除した。目撃多発などを受け、山形市が今月1日付で鳥獣被害対策課を新設するなど自治体も対応を進める。
冬眠明けのクマが山林や住宅地に出没する例は今後増えるとみられる。昨年11月、クマ対策のため陸上自衛隊が全国で最初に派遣された秋田県鹿角市の担当者は「目撃情報がある場所には行かず、もし向かう場合はクマ鈴で気配を知らせながら複数人で行動してほしい」と訴えている。
〔写真説明〕民家近くに出没したクマ=2025年10月、秋田市