イラン版イージス艦が“なすすべもなく炎上”する映像 イスラエル軍はなぜ世界最大の湖に攻撃を加えたのか

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2026年3月19日、イスラエル国防軍はカスピ海のバンダル・アンザリ港に停泊していた艦艇や軍港施設などを攻撃し、これを無力化したと発表しました。どのような目的があったのでしょうか。

外洋に接していない湖の艦艇を攻撃

 2026年3月19日、イスラエル国防軍はカスピ海のバンダル・アンザリ港に停泊していた艦艇や軍港施設などを攻撃し、これを無力化したと発表しました。

 攻撃の主な標的について、イスラエル軍はミサイル艦、補助艦艇、哨戒艇などとしています。その後、SNS上では破壊された軍港や艦艇の画像が拡散され、大規模な攻撃が行われたことを裏付ける形となりました。

 イスラエル軍がこれまでカスピ海のイラン軍や軍事施設を攻撃した事例はなく、極めて異例の行動と報じられています。

 カスピ海は世界最大の湖として知られていますが、外洋とは接していません。では、なぜイスラエル軍がこの地域で攻撃を行ったのでしょうか。その背景には、対岸に位置するロシアとの関係が関わっています。

 カスピ海は度々、ロシアとイランの武器や食料の輸送拠点として指摘されています。この湖を通じて、イランのシャヘド136などの自爆ドローンや武器・弾薬のほか、石油や小麦なども取引されているとみられています。

 この動きは、2月末から開始されたイスラエル軍とアメリカ軍によるイランへの空爆以降、活発化したと報告されています。イランへの食料や弾薬の輸送を阻止する目的で、空爆と併せた攻撃が実施された可能性が高いと考えられます。

 同時に、ロシア側のカスピ海軍港も関与しており、シャヘドなどの自爆ドローン兵器の使用を抑制するため、ウクライナ軍による港や艦船への攻撃や破壊工作も行われてきました。

イランのイージス艦があっけなく攻撃を許す

 一方、イラン側もカスピ海での攻撃の可能性を警戒しており、2010年代から就役しているモッジ型フリゲート(イランでは駆逐艦と呼称)の最新鋭艦「ディラマン」を運用していました。

 この艦はモッジ型の中でも最も新しく、2023年11月に就役しました。イラン側の公式発表によれば、高度な電子システムを備え、対空戦能力および対潜能力に優れる、日本でいうところのイージス護衛艦的な能力を持つ艦とされています。

 しかし、カスピ海での攻撃動画では、真っ先に同艦と思われる艦が損害を受ける様子が公開され、深刻な損傷を負ったことが示されました。一部報道では、同艦は新型のフェーズドアレイ・レーダーを搭載し、半径200km圏内を探知可能とされています。しかし、このレーダーは本来艦隊護衛用であり、湾内での防空を担当するものではありません。

 港湾や湾内は浅瀬や狭い航路が多く、艦が自由に機動できないため、レーダーの最適な探知角度や死角の回避が難しくなります。さらに、低空を高速で侵入するドローンや小型ミサイルは、フェーズドアレイ・レーダーで探知できても追尾に時間差が生じやすく、湾内での奇襲攻撃には十分対応できません。

 攻撃が長距離精密兵器によるものだったのか、低空侵入の巡航ミサイルやドローンによるものだったのかは明らかになっていませんが、イラン艦艇のなかでも防空能力に優れる最新鋭艦が無力化されたことは、衝撃的な事件であったことに間違いありません。

「ディラマン」をはじめ、イラン軍はカスピ海で大きな損害を被っており、同湖周辺での戦闘能力は、組織的な反撃がほぼ不可能なほど弱体化したと考えられます。

【動画】多くの艦艇へ攻撃が…これが「ディラマン」などが炎上する瞬間です