【セルネラビル時事】27日に閉幕したパリ近郊セルネラビルで開かれた先進7カ国(G7)外相会合。イランやウクライナ情勢への対応で共通の立場を築くことを試み、何とかホルムズ海峡の開通を求める短い声明をまとめた。しかし協調の不全は覆い隠せず、自国最優先の米国と他6カ国が実利でつながる危うい関係が浮き彫りとなった。6月の首脳会議(サミット)本番に暗雲が立ち込めている。
焦点だった原油輸送の要衝ホルムズ海峡への対応は、非敵対国の通航を認めて米国の孤立化を図るイランの戦略が、結果的にG7結束の呼び水となった。「全ての船舶の安全確保が急務」(日本の茂木敏充外相)「世界経済を人質に取ることはあってはならない」(クーパー英外相)との声が上がり、「安全かつ通航料なし」での開通を求める共同声明につながった。
日本が重視する対中国警戒での連携でも利害が一致した。米欧双方にとって、中国がサプライチェーン(供給網)を握り「武器化」するレアアース(希土類)の確保は国益にかなう問題。供給の安定化へ協力を深める方針が確認された。
しかし、米国の関与低下で運営が苦しくなっている世界の平和維持活動や人道支援の立て直しが議題となった初日、インドとブラジル、サウジアラビア、韓国を招き、多国間協調を演出したが、むしろルビオ米国務長官の欠席が際立った。ルビオ氏は訪仏に先立つ26日、G7各国との関係について「幸せにしたいのは米国の人々だ。フランスやドイツ、日本のために働いているわけではない」と言ってのけた。
会合前から、議長国フランスは「安全保障や平和に関する立場の調整」(外交筋)を優先課題に挙げ、共同声明の取りまとめに後ろ向きだった。米イスラエルの対イラン作戦や、ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの対応で、米欧が批判し合う状況下、隔たりを埋めるのは困難とみられたためだ。
例年行われている春のG7外相会合では、国際情勢を総覧する共同声明の取りまとめを通じ、サミットへの地ならしを図ってきたが、今回はA4サイズ1枚きり。ドイツのワーデフール外相は「(イラン情勢で)見解の相違は全くない」と強調するが、諸課題での乖離(かいり)は大きいのが現実だ。
会合が開かれたセルネラビルは1975年の最初のサミットが開かれたランブイエ城と同じ地域。バロ仏外相は、第1次石油危機後の再建に向けて協調をうたった当時の「サミット創設の精神」にならうとしたが、半世紀にわたり日米欧の結束を象徴してきたG7の面影はない。
〔写真説明〕27日、パリ近郊セルネラビルで、先進7カ国(G7)外相会合の記念撮影に応じるルビオ米国務長官(左)と議長国フランスのバロ外相(AFP時事)