高市首相、イラン対応「先手」意識=紛争長期化、支持下落のリスク

企業不動産の流動化ニーズ高まる

 イラン情勢の緊迫化と原油価格の上昇は、高市早苗首相の危機管理能力を試すことになった。戦闘開始から28日で1カ月。在留邦人の退避を含めて「先手」(首相周辺)を意識し、対処してきた。ただ、紛争が長期化して物価高が続けば、国民の不満が首相に向かうリスクをはらむ。自衛隊派遣の是非も焦点だ。
 「事態発生当初から邦人保護に全力で取り組むとともに、エネルギー価格をはじめとした物価への影響にスピード感を持って手を打ってきた」。木原稔官房長官は27日の記者会見で、政権の対応についてこう強調した。
 レギュラーガソリン1リットル当たりの店頭価格は、米・イスラエルによる攻撃前の157.1円(全国平均)から徐々に上昇。さらなる高騰を懸念した政府は石油備蓄の単独放出を16日に始めた。一時は190.8円まで跳ね上がったが、23日時点で177.7円に下がった。
 首相は関係閣僚会議で「経済活動への影響を最小限に抑えるべく全力で対応する」と表明し、各分野に目配りするよう指示した。政府関係者は「ガソリン値下げは『あす始める』と言って、実際に翌日実行するのは困難だ」と指摘。「首相は攻撃直後から、あれこれ考えて指示を出していた」と明かす。
 ペルシャ湾岸諸国に向けたイランの反撃により、主要空港では封鎖や欠航が相次いだ。中東各地で避難を希望する邦人が膨れ上がる「想定外の事態」(政府関係者)となったが、チャーター便を6便飛ばすなどして希望者1160人全員の退避を支援した。
 ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、首相は先の日米首脳会談でトランプ大統領から「貢献」を求められた。海上自衛隊の艦艇などを出すかどうか検討されているが、「戦地」派遣はハードルが高い。「法律の範囲内でできること、できないことがある」。今のところ首相はこう繰り返す。
 中東情勢がいつ落ち着くかは不透明。自民党の重鎮は「石油備蓄の底が見えた時、世論がどう反応するかだ」と指摘する。日本の外交努力にも限りがある。政権幹部は「米イラン協議が和平に向けて進むのか見守るしかない」と語った。 
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=27日、東京・永田町
〔写真説明〕記者会見する木原稔官房長官=27日、首相官邸