県境の大河に架かる橋「架け替えません」そのまま「撤去」へ 渡し船を解消した”最初の橋”が90年越え老朽化 国道42号

不動産売却ニーズ高まる 背景は

和歌山県と三重県を結ぶ国道42号「熊野大橋」が撤去される方針です。熊野川河口部で最初に架かった橋ですが、90年を経て老朽化。架け替えずとも影響は軽微と判断されました。

「90歳」の橋、老朽化と治水で課題

 国土交通省 近畿地方整備局は2026年3月25日、和歌山県新宮市と三重県紀宝町を結ぶ国道42号「熊野大橋」について、有識者による橋梁技術検討会の結果、「橋を撤去」すると発表しました。

 熊野大橋は1936(昭和11)年3月に開通。この付近の熊野川で最初に架かった橋で、それまで住民は渡し船で熊野川を渡っていたといいます。

 さらに下流に現在のJR紀勢本線「熊野川橋梁」が開通したのは、4年後の1940年のこと。紀勢本線の車窓から見える熊野大橋は、長い長い三重県区間を抜けて、多くの列車の終着となっている和歌山県新宮駅に入る前の象徴的な風景にもなっています。

 しかし、開通から約90年が経過した熊野大橋は、上部構造の多数の部材に腐食、欠損、変形、破断といった損傷が見られるなど、耐荷性能が低下している状況です。また、2011(平成23)年9月の台風12号による紀伊半島大水害では、増水した熊野川の水が橋の両端から氾濫した経緯があり、治水機能の向上が課題となっていました。

 現在、熊野大橋のすぐ北側には1979年に開通した国道42号バイパスの「新熊野大橋」があるほか、さらに2022年には最も河口に「紀勢道」の一部をなす「新宮紀宝道路」の「熊野川河口大橋」が開通し、道路橋は3本になりました。

 新宮紀宝道路の開通で熊野大橋・新熊野大橋の交通量は約4割減少したことから、「熊野大橋の自動車交通が他の橋梁へ転換された場合でも、交通容量等に問題はない」と判断され、熊野大橋は架け替えずに撤去することになったそうです。

 一方、自転車・歩行者については新熊野大橋が唯一の渡河橋梁となりますが、新熊野大橋には上り線側に幅員2mの狭い歩道しかなく、安全な通行機能の確保が課題でした。熊野大橋と新熊野大橋を合わせた自転車・歩行者の利用総数は12時間あたり301人で、そのうち86%が自転車利用者だそうです。

 そこで、熊野大橋の撤去に伴う対応方針として、新熊野大橋の下り線側に自転車・歩行者道を新たに設置するといいます。