「旗艦」復活か!? 海自“創設以来最大”の大改編 「見た目空母」な護衛艦の役割どう変わる? 直接聞いてみた

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海上自衛隊が2026年3月23日、創設以来最大級となる組織改編を実施しました。水上艦艇部隊を「水上艦隊」として一元化するなかで、その隷下の第2水上戦群ホームページに護衛艦「かが」が同群の「旗艦」になるとの記述が。これは何を意味するのでしょうか。

海自「過去最大の組織改編」 新部隊のそれぞれの役割は?

 海上自衛隊は2026年3月23日、従来の部隊編成を一新する、創設以来最大級となる組織改編を行いました。

 これまで、海上自衛隊では戦力の中心である護衛艦を含めた各種艦艇を、それらを束ねる自衛艦隊の下、別々の部隊で運用してきました。たとえば、護衛艦は護衛艦隊隷下の第1から第4護衛隊群および第11から第15護衛隊が、掃海艇は掃海隊群隷下の第1から第3掃海隊や地方隊・基地隊が、輸送艦は掃海隊群隷下の第1輸送隊が、それぞれ担当していました。

 今回の組織改編は、現在の厳しい安全保障環境に対応するため、水上艦艇を集中して運用する態勢を確立する目的で実施されました。具体的には、自衛艦隊の下にすべての水上艦艇部隊を一元的に指揮監督する「水上艦隊」を新設。その下に、新たな部隊が編成されています。

 新たに編成されたのは、護衛艦を運用する「第1~3水上戦群」、輸送艦と機雷戦用艦艇を運用する「水陸両用戦機雷戦群」、そして哨戒艦および、もがみ型護衛艦(FFM)を運用する「哨戒防備群」です。これにより、これまで艦種ごとに分かれていた指揮・運用態勢が水上艦隊に集約され、より効率的な部隊運用が可能になります。

 なお、基本的に組織改編による影響を最小限に抑えるため、部隊司令部の所在地および艦艇の母港は変更されません。ただし、これまで神奈川県の海上自衛隊横須賀基地に司令部が置かれていた掃海隊群は、改編後に「水陸両用戦機雷戦群」となり、司令部は長崎県の佐世保基地へ移転しています。-

 今回の組織改編により、1個水上戦群が指揮下に置く護衛艦の数は、これまでの1個護衛隊群時代と比べて多くなります。これにより、訓練や修理、さらに海外派遣などを実施しつつ、有事への備えがしやすくなるというメリットがあります。

 また、新たに編成された「哨戒防備群」も大きな意味を持ちます。これまで護衛艦の運用を圧迫してきた、他国海軍艦艇による日本周辺での動向監視といった任務を同群に一任することができます。その結果、護衛艦を本来の任務である有事への備えに、より一層専念させることができるようになるのです。

「群直轄艦艇」復活 その意味は?

 今回の組織改編の中で、とくに注目されるのは各水上戦群の編成です。基本的に、それぞれの水上戦群には3個水上戦隊が置かれ、その中にイージス・システム搭載護衛艦(DDG)や汎用護衛艦(DD)などが配備されています。そんな水上戦群の編成について、広島県にある海上自衛隊呉基地に司令部を置く「第2水上戦群」は、新たに開設された同群のホームページにて詳細を公表しているのですが、呉基地を母港とする護衛艦「かが」を「第2水上戦群の旗艦」と説明しているのです。

 旗艦とは、司令官や幕僚が乗り込み、隷下部隊を指揮するための艦艇のことで、海上自衛隊ではかつて、自衛艦隊、護衛艦隊、そして護衛隊群にそれぞれ直轄艦としての旗艦が置かれていましたが、現在ではいずれも廃止されています。海上自衛隊は、今回の改編に合わせて旗艦を復活させたということなのでしょうか。筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は、これについて確認するため、海上幕僚監部広報室を取材しました。

 まず、今回の組織改編では、各水上戦群および水陸両用戦機雷戦群に、それぞれ「群直轄艦艇」が配置されたといいます。

「海上自衛隊としては『群直轄艦艇』という表現が正確で、機能面をとらえた場合の表現として、いわゆる『旗艦』があるとご認識頂ければと思います。水上戦群の編制としては、水上戦群司令部、各水上戦隊、そして水上戦群直轄艦のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)ということになります。つまり、DDHであるいずも型およびひゅうが型は、他の組織および部隊と並列の関係になります。

 それぞれの部隊の直轄艦としては、横須賀の第1水上戦群が『いずも』、呉の第2水上戦群が『かが』、舞鶴の第3水上戦群が『ひゅうが』、そして佐世保の水陸両用戦機雷戦群が『いせ』となります」(海上幕僚監部広報室担当者)

 それでは、なぜ今回の組織改編により、海上自衛隊は群直轄艦艇を復活させたのでしょうか。その理由について、海上幕僚監部広報室は次のように回答しています。

「今回、直轄艦を編成上復活させた背景としては、『作戦が高度化・複雑化する様相に対応するため、指揮中枢艦としての能力が高いDDHを群直轄艦艇とすることにより、隷下の各艦艇が広い海域で分散機動する場合など、さまざまな場面における水上戦群司令部の指揮統制を確保することとした』というのが、公式見解になります」(海上幕僚監部広報室担当者)

 つまり、艦艇が幅広い海域に分散して展開する場合など、さまざまな状況下でも水上戦群司令部がしっかりと各艦艇を指揮統制するために、そうした能力が高いDDHを群直轄艦艇とした、ということです。

 従来、通信能力や艦内機能の面で他の護衛艦と比べて指揮統制能力が高かったDDHには、行動時に護衛隊群司令や幕僚が乗り込むための機能が備わっていました。しかし、海上幕僚監部広報室によると、あくまでも編成上は護衛隊群隷下の護衛隊に属する護衛艦であったため、群司令が乗り込む際には隊司令等も一緒に乗り込むなど、手続き面を含めた煩雑さがあったといいます。

 そこで、今回の組織改編に伴い、DDHを水上戦群直轄艦艇とすることで、こうした問題の整理を図ったとのことです。そのため、DDHに関しては編成上の位置付けに変更はあるものの、運用面に関しての変更はないということです。