緊張緩和か時間稼ぎか=トランプ氏、原油相場にらみ駆け引き―米イラン交渉、予断許さず

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 【ワシントン、イスタンブール時事】トランプ米大統領はイランの発電所への攻撃を延期し、戦闘終結に向けた交渉へと乗り出した。要衝ホルムズ海峡でのイランの航行妨害で原油価格が高止まりする中、これまでの強硬姿勢を一転し、緊張緩和を探る姿勢を示した形だ。だが、イラン側は米軍の新たな作戦に向けた「時間稼ぎ」とみており、交渉が進展するかどうかは予断を許さない。
 ◇口先介入
 トランプ氏は23日、「非常に良い協議をしている。合意の可能性が極めて高い。5日間与え、様子を見てみよう」と述べ、イランとの対話に手応えを示した。
 米イスラエルのイラン攻撃開始から3週間。米国は前最高指導者を殺害し、「無条件降伏」(トランプ氏)を迫るが、イランが応じる気配はない。ホルムズ海峡を事実上封鎖して原油価格を押し上げることで、逆にトランプ政権への圧力を強めているのが現状だ。
 交戦が長期化する中、トランプ政権は制裁を一部緩和し、ロシア産に続きイラン産原油の取引容認へとかじを切った。原油価格抑制を迫られた格好で、トランプ氏が緊張緩和を演出したのも市場を意識した「口先介入」だとする見方は根強い。
 ◇交渉難航も
 イランは対米交渉を否定するが、ガリバフ国会議長が関与していると報じられている。反米強硬派の重鎮の一人で、精鋭軍事組織「革命防衛隊」の空軍司令官を務めた経歴から、軍・治安組織とのつながりも深いとされる。
 ガリバフ氏は23日、X(旧ツイッター)で「国民は侵略者に対する徹底的で後悔させるような懲罰を求めている」と主張。対米交渉が実現したとしても、徹底抗戦の姿勢を崩さない革命防衛隊の支持を得つつ、米国に歩み寄ることができるかどうかは不透明だ。
 イランは戦闘終結の条件として、米イスラエルが再び攻撃しないことを保証するほか、多額の賠償金を支払うことを要求。中東の米軍基地閉鎖も求めているとされるが、いずれも米イスラエルが受け入れるのは極めて困難な内容だ。
 ◇態勢整える米軍
 トランプ氏の呼び掛けにもかかわらず、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は艦船派遣に消極的な態度を見せており、ホルムズ海峡の航行が正常化する見通しは立っていない。
 米軍は強襲揚陸艦や海兵隊の中東派遣を決め、実力でホルムズ海峡の安全を確保する構えを示す。海峡周辺の離島やイラン沿岸部の制圧が取り沙汰されており、交渉が次なる攻勢に備え、態勢を整える時間稼ぎに終わる可能性は拭えない。
 イランは「敵国以外の船舶には(海峡は)開放されている」と主張し、米イスラエルと各国の分断を図る。イラン軍中央司令部報道官は23日、「ペルシャ湾地域での主導権を完全に握り、ホルムズ海峡を強力に管理している」と強調。海峡開放を急ぐ米国への揺さぶりを続けている。 
〔写真説明〕米イスラエルの攻撃を受けて立ち上る煙=17日、テヘラン(AFP時事)