2026年度予算案の今年度内成立が極めて厳しい情勢となり、高市早苗首相(自民党総裁)が暫定予算の編成にかじを切った。衆院選圧勝の勢いにのる首相は3月末までに確実に成立させたい考えだったが、与党過半数割れが続く参院の壁が立ちはだかった。首相はなお年度内成立にこだわるが、自民内からは「むちゃだ」と批判も漏れる。
「不測の事態に備えて暫定予算を編成する方向で検討したい」。木原稔官房長官は23日、自民の松山政司参院議員会長らと首相官邸で会談し、首相の意向を踏まえてこう伝えた。タイムリミットとされる24日を目前にして、官邸が準備の必要性をようやく認めた瞬間だった。
予算案を巡り、自民内ではもともと「無理だ」(幹部)との声が大勢だった。首相が36年ぶりに1月の衆院解散に踏み切り、審議入りが約1カ月遅れたからだ。首相はそれでも年度内成立を指示。自民は3分の2の議席を握る衆院で「委員長職権」を連発し、13日に衆院通過を強行した。
側近は首相の強硬姿勢の背景に「衆院選の歴史的勝利を受けた自信がある」と解説する。
自民は参院でも年度内成立を試みた。しかし、与党で過半数に4議席足りない参院で審議を強行すれば、野党の反発ですぐに行き詰まる。参院予算委員会の審議時間は野党が主張する60時間以上に対し、23日時点でようやく26時間。野党が暫定予算編成を明確にしなければ審議に応じないとけん制する中、首相は一歩譲らざるを得なかった。
ただ、首相が年度内成立を諦めたわけではない。木原氏は松山氏らに、あくまで「大災害」などに備えた対応だとクギを刺した。首相は23日の自民役員会で「引き続き年度内成立を目指しての尽力をお願いする」と改めて指示した。
もっとも、参院では予算案を賛成多数で可決するめども立っていない。月末まで審議を続けても審議時間は50時間前後。立憲民主党幹部は「首相は参院の現状が分かっていない」と批判する。自民内からは「首相は近く年度内成立断念を迫られる」(中堅)と冷ややかな声が漏れる。
官邸が暫定予算編成を明言したことで、「日切れ法案」の大半は審議が進む見通しとなったが、高校授業料無償化法案だけは実質審議入りのめどが立たない。野党が松本洋平文部科学相の不倫問題に関する明確な説明を前提として求めているためだ。首相は松本氏を守る構えを崩していないが、野党からは辞任を求める声が出ており、首相は厳しい判断を迫られる可能性もある。
〔写真説明〕自民党本部に入った参院幹部の(手前から)松山政司氏、石井準一氏、磯崎仁彦氏=23日午前、東京・永田町
〔写真説明〕会談する自民党の磯崎仁彦参院国対委員長(右)と立憲民主党の斎藤嘉隆国対委員長=23日午前、国会内