滋賀県彦根市のキャラクター「ひこにゃん」が、4月で誕生から20年を迎える。本来は1回限りのイベントキャラクターだったが、ゆるキャラブームの火付け役となったことを機に、今も全国的な知名度を誇る。市の担当者は「海外での活動の場もさらに広げていきたい」と力を込める。
ひこにゃんは、彦根藩主の井伊直孝を手招きし、雷雨から救ったとされる猫と、戦で軍団が身に着けた「井伊の赤備え」のかぶとがモチーフ。愛称は2006年、一般公募した1167の案から選ばれた。
彦根市によると、07年に開催した「国宝・彦根城築城400年祭」のPRキャラクターとして誕生したが、当初はイベント終了後に「お役御免だった」(担当者)。ところが、イベント開催前から全国各地のご当地祭りなどに登場したことでメディア露出が増え、爆発的な人気を呼んだ。
400年祭期間中の彦根城来場者数は、目標の55万人を大幅に上回り、76万人を達成。終了後も活動継続を望む声が多く、市のキャラクターとして定着し、今も彦根城内などで活躍する。
経済効果も大きい。民間企業の調査では、24年の関連グッズ販売額は8億4000万円と、市内の観光消費額の4.5%を占めた。市が運営するファンクラブの会員数も約3200人に上る。
海外展開にも力を入れる。今年1月にはタイ・バンコクで開かれた大規模見本市にひこにゃんが登場し、彦根市の魅力をアピール。中国での商標登録も進めており、今後は同国のデパートで関連商品の販売も検討している。
20周年となるのを前に、市は記念ロゴを作成。ひこにゃんと命名された日の4月13日には、彦根城内で記念セレモニーを開催する予定だ。
一方で、ひこにゃんがPRする彦根城は、1992年に世界遺産候補の「暫定リスト」に記載されて30年以上が経過したものの、国の推薦が得られない状況が続く。市エンタテインメント課の山本恭裕課長補佐は「さまざまな人を招き寄せてきたひこにゃんの力を借り、世界遺産登録につなげたい」と訴えた。
〔写真説明〕彦根城の前でポーズを決めるひこにゃん=2008年、滋賀県彦根市(同市提供)
〔写真説明〕ひこにゃん誕生20年を記念したグッズと関連イベントのチラシ=18日、滋賀県彦根市