物価高や人件費の上昇を背景に、飲料自動販売機への逆風が強まっている。今月に入り、サッポロホールディングスやダイドーグループホールディングスが相次いで自販機事業からの撤退や縮小を発表した。一方、購買データの活用や、新たな価値を加えることで生き残りを目指す動きもあり、自販機をめぐる各社の戦略の違いが目立ってきた。
自販機は定価販売ができることから、飲料メーカーにとって「ドル箱」だった。飲料総研(東京)によると、かつては飲料購入の首位だったが、近年は価格が安いスーパーに抜かれ、2024年はコンビニにも追い付かれた。定価の上昇が続く中、自販機は割高だと感じる消費者が増えている。清涼飲料を扱う自販機の稼働台数は14年の247万台から10年間で204万台まで減少し、「収益性は悪化の一途をたどっている」という。
飲料の補充や管理などの費用増も重なり、サッポロは今月5日、自販機事業からの撤退を発表した。保有する約4万台は他社へ譲渡する。ダイドーも国内約27万台のうち約2万台を26年度中に削減する方針だ。
厳しい市場環境を踏まえ、業界トップの約65万台を持つコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスは事業改革に乗りだしている。25年12月期連結決算で自販機などの減損損失約900億円を計上。その上で、自販機や独自アプリなどで収集したデータを基に設置場所や品ぞろえ、補充頻度などを判断するようにした。「小売業」の目線を取り入れ、収益力を高める狙いだ。
サントリー食品インターナショナルは独自の決済アプリ「ジハンピ」を昨年から全国展開している。購入時の面倒な自販機操作が不要で、アプリを立ち上げてかざすだけで決済できる利便性を売りに対応機の平均売上額を伸ばすことに成功した。
アサヒ飲料(東京)は大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する自販機を開発。環境への配慮から企業や学校で好評だという。米女太一社長は「自販機の魅力を高めることが新たなファン獲得につながる」と期待する。
〔写真説明〕サントリー食品インターナショナルが展開する決済アプリ「ジハンピ」対応自販機=21日、東京都新宿区
〔写真説明〕アサヒ飲料の「CO2を食べる自販機」(同社提供)