一定の収入を得て働く高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金制度」について、減額が始まる基準額(賃金と厚生年金の合計)が4月、現行の月額51万円から65万円に引き上げられる。昨年成立した年金制度改革法に基づく見直しで、新たに約20万人が満額の年金を受け取れるようになる見通し。高齢者の働く意欲を高め、企業が抱える人手不足の解消につなげる。
在職老齢年金制度は、賃金と厚生年金の合計額が基準額を超えた場合、超過部分の半額について、厚生年金から減らす仕組み。全国民対象の基礎年金には影響しない。直近1年間のボーナスを12等分した金額を含む月ごとの賃金と、厚生年金のうち収入や加入期間に応じて増える「報酬比例部分」の月額を合計し、基準額と比べて判断する。
例えば賃金が46万円で厚生年金が10万円の場合、合計は現行の基準額(51万円)を超える56万円となり、超過分の半額(2万5000円)が支給停止となる。4月から基準額が65万円に見直されると、満額を受給できる。
厚生労働省によると、年金の受給権を持ちながら働く65歳以上の高齢者は2023年度末時点で約324万人に上る。在職老齢年金制度が就労意欲をそいでいるとの指摘を踏まえ、基準額を引き上げる。4月以降も、経営者や専門職など現役並みの高収入を得る約30万人は、基準額を超えるため年金が減らされる。