エコノミーより広くビジネスより手軽な席として注目度の高い「プレミアムエコノミー」ですが、近年、導入する航空会社が増えています。じつは航空会社からすると、「うま味のある」シートでもあるようです。
膝まわりに劇的な余裕が生まれる座席の広さと体験を格上げするサービス
航空会社の収益を支える存在として語られることもある「プレミアムエコノミー」ですが、春先の旅行シーズンを前に改めて注目が集まっています。
プレミアムエコノミーの大きな特徴は、なんといっても座席の前後間隔を示す「シートピッチ」の広さにあります。
一般的なエコノミークラスのシートピッチは84cmから86cmほどですが、プレミアムエコノミーではこれが大幅に拡大されます。
たとえば、ANAでは現行機で約97cmの設定となっており、間もなく導入予定の新型機では101cmまで広がる計画もあります。
また、JALについても機材によっては107cmとして案内される例があり、膝まわりに大きな余裕が生まれるのが特徴です。
座席によっては、背もたれが後ろへ倒れるのではなく、座面が前へスライドする仕組みのものもあります。これなら、後ろの席の人の足元スペースを狭めることがないため、互いに気兼ねなく過ごせます。
サービス面でも、エコノミーとは異なる演出が加えられています。エミレーツ航空では、食事が陶器の皿やステンレス製のカトラリーで提供されるなどの工夫が見られます。
JALでは、スリッパの提供や「うどんですかい」などの軽食が用意されることも。ANAでも、路線や便によって特別な備品や軽食が用意される場合があります。ただし、これら備品の提供やラウンジの利用可否は、路線や便により条件が異なるため事前の確認が必要です。
収益はビジネスクラス超えも! 「真ん中」が選ばれる理由
海外メディアによると、航空会社によってはプレミアムエコノミーは床面積あたりの収益がエコノミーより高く、状況次第ではビジネスクラスを上回るとまで試算されています。
1席あたりに必要なスペースはエコノミーより大きいものの、運賃を高めに設定できるため、航空会社にとっては客単価を引き上げられるとか。すなわち、「高収益な中間帯」として位置づけることが可能で、こうした事情から多くの航空会社で導入が進んでいると言えるでしょう。
一方、乗客にこの席が選ばれる背景には、行動経済学で「妥協効果(松竹梅の法則)」と呼ばれる心理が関係していとのハナシも。人は、安い選択肢と高い選択肢が並んだとき、その中間にある“真ん中”が、最もおトクで賢い判断に見えてしまう傾向があります。
SNSなどでも「ビジネスは高すぎるけれど、エコノミーで疲れるのは避けたい」といった声が見られ、この絶妙な心理的バランスが安定した需要を生み出しているとも考えられます。
景気が悪いときでも、出張費を抑えつつ快適に移動したいビジネス客や、少し贅沢をしたい観光客の両方を取り込める強みがあります。
単に広い席というだけでなく、人間の心理や経営の効率化が緻密に計算された結果、プレミアムエコノミーは現在の航空業界に欠かせない存在となりました。
これらを鑑みると、今後も各航空会社から、より快適なプレミアムエコノミーが誕生するのは間違いないでしょう。