【北京時事】米イスラエルによるイラン攻撃が続く中、3月末に予定されていたトランプ米大統領の中国訪問が延期された。イラン情勢の行方によっては訪中計画自体が暗礁に乗り上げる可能性もある。先の読めないトランプ外交を前に、習近平政権は米国との「対話機運」の維持に腐心している。
中国メディアは20日、日米首脳会談でトランプ氏がイラン攻撃について旧日本軍の真珠湾攻撃になぞらえて発した軽口を一斉に報じ、困惑する高市早苗首相をちゃかした。一方で、両首脳が台湾問題を巡る認識を共有したことなど米中間の火種となり得る内容はほぼ伝えていない。
「米側と意思疎通を続けている」。トランプ氏が訪中延期の可能性に触れた直後の16日、中国外務省の林剣副報道局長は記者会見でこう強調した。習政権が2020年から制裁対象としているルビオ米国務長官の入国容認も示唆し、融和姿勢をアピールした。
トランプ氏は英紙に、イランが事実上封鎖するホルムズ海峡での船舶航行の安全確保に中国が協力しなければ訪問を「延期するかもしれない」と語っていた。その後、ベセント米財務長官が延期は実務的な理由だと説明すると、林氏は17日の会見で「報道は完全に誤りだと米国が明らかにした。訪中と海峡の通航問題は何の関係もない」と力を込めた。
中国が米国の要請に応じて海峡への安全確保のための艦船派遣に踏み切れば、友好国イランとの関係悪化は必至だ。トランプ氏の不興を買い、訪中が頓挫する展開も避けたい。メディアの「誤報」だと主張することで、海峡での協力が首脳会談実現の条件と化すのを回避した形だ。
トランプ氏が予定通り訪中すれば、首脳会談で艦船派遣を直接求められかねず、延期は中国側に好都合でもある。ただ、27年の共産党大会と政権4期目入りを見据える習氏は、首脳往来によって早期に対米関係を安定させ、内政や人事に専念したいのが本音だ。
中国外交は例年、3月上旬の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)後に活発化する。習氏の年内最初の外遊も春から初夏にかけて行われるのが近年の傾向で、米側との日程再調整は難航する可能性もある。
〔写真説明〕トランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席(AFP時事)