原油高騰で焦り、日本を利用=ホルムズ安全へ各国に対応迫る―11月の中間選挙にらみ・トランプ氏

「5類型」撤廃へ 防衛産業に注目

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は19日、対イラン軍事作戦のさなか、ホワイトハウスに高市早苗首相を招いた。イラン情勢を巡る日本の姿勢について「十分に取り組んでいる」と持ち上げ、夕食会を催すなど異例の厚遇を示した。原油価格高騰への焦りを背景に、自身に寄り添う日本を利用し、米国支援に距離を置く欧州各国に対応を迫る狙いもありそうだ。
 トランプ氏は会談冒頭、事実上封鎖されているホルムズ海峡の航行の安全確保について、「(日本が)一歩踏み出すことを期待している」と強調。さらに北大西洋条約機構(NATO)と日本の協力姿勢は「違う」と指摘し、欧州の同盟国をわざとおとしめてみせた。
 同盟国に協力を強いるのは、軍事作戦の長期化でガソリン価格が2割余りも上昇し、物価高が政権の命運を左右する11月の中間選挙を直撃する恐れがあるためだ。支持基盤に亀裂も生じており、「中間選挙は悲惨な結果になりかねない」(ポール上院議員)との動揺が共和党内で広がっている。
 トランプ氏は首相に対して、日本は原油の9割超を中東諸国に依存していると改めて訴え、ガソリン価格抑制につながるホルムズ海峡の安全確保への「貢献」を要請した。会談に先立ち、日本や欧州の同盟国を名指しして海峡への艦船派遣を求め、その後に発言を翻すなど揺さぶりもかけた。
 トランプ政権下では異例となる夕食会開催で首相を歓待したのは、協力を引き出すための「演出」と見る向きも少なくない。会談では対米投融資の第2弾も打ち出された。いわゆる「トランプ関税」は連邦最高裁で違憲とされたが、日本からの投資は米国に雇用をもたらす成功例として、選挙戦のアピール材料にする思惑だ。
 一方、トランプ氏は日中関係への言及を避けようとする場面があり、中国に配慮をにじませた。米中通商交渉を控え、自身の支持層である農家の生活に直結する米国産大豆の購入拡大に影響が及ぶのを回避したいとみられる。中間選挙までに政権を取り巻く情勢は一層不安定化する可能性があり、米政府関係者は「政権は今後もあらゆる分野で日本への要求を強めるだろう」と語った。 
〔写真説明〕19日、ホワイトハウスで高市早苗首相(中央右)と抱擁するトランプ米大統領(同左)(ホワイトハウスがSNSに投稿した動画より)
〔写真説明〕19日、ホワイトハウスで、記念撮影に臨むトランプ米大統領(左)と高市早苗首相(ホワイトハウス提供)
〔写真説明〕19日、ホワイトハウスで高市早苗首相(左から3人目)らとの夕食会に臨むトランプ米大統領(中央)(EPA時事)