高市早苗首相とトランプ米大統領の会談が迫る中、対イラン軍事作戦を巡るトランプ氏の発言が二転三転し、日本政府が警戒を強めている。トランプ氏は日本などにホルムズ海峡への艦船派遣を迫る姿勢を見せていたが、17日には「支援はもう必要ない」と発言を一変させた。日本政府はトランプ氏の真意を測りかねており、ぎりぎりまで情報収集と首相発言の調整を続ける構えだ。
「日々、情勢が変わり、米国の発信が変わる。そのタイミングで真っ先にトランプ氏に会う。国益を最大化し、国民の生命を守り抜くことを主眼に議論してきたい」。首相は18日の参院予算委員会で、緊張した表情でこう語った。
イランがホルムズ海峡を事実上封鎖する中、トランプ氏は14日、日本などを突然名指しし、「艦艇派遣を期待する」とSNSで表明。その後も「日本は石油輸入の95%をこの海峡に依存している。われわれを助けるべきだ」と圧力を強めた。だが、17日には一転し、日本、北大西洋条約機構(NATO)、韓国、オーストラリアに触れて「誰の助けも要らない!」と突き放した。
目まぐるしく変わる発言に、日本政府高官は「朝令暮改だ」と戸惑いを隠せない。トランプ氏の17日の発信は、字面通りなら派遣要請の撤回と取れるが、反応の鈍い日本などに不満を爆発させたとの見方も成り立つ。首相は参院予算委で「法律に従い、できることはできる、できないことはできないとしっかりと伝える」と気を引き締めた。
今回の訪米で際立つのはトランプ氏による異例の厚遇ぶりだ。トランプ氏は19日に首相と昼食と夕食を共にする予定。実利を重んじるトランプ氏が外国首脳と1日2回食事するのは極めてまれだ。トランプ氏は先の衆院選では首相への「支持」を表明しており、親しかった故安倍晋三元首相の後継者とみる高市氏への親近感が強いとみられる。
関係者によると、米政府関係者は「トランプ氏が高市氏に特別な思いを抱いている表れだ」と日本側に説明した。ただ、手厚い接遇は期待の裏返しでもあるだけに、日本政府関係者は「どんな見返りを要求されるのか」と身構える。
日本政府は当初、今回の首相訪米を月末からの米中首脳会談に備えた腹合わせの場と位置付けていたが、トランプ氏が訪中を延期し、イランを巡る対応が最大の焦点に浮上した。トランプ氏は日米同盟の「片務性」にたびたび不満を示してきた経緯があり、会談は高市氏の発言次第で暗転しかねないリスクをはらむ。自民党重鎮は「首相の政治家としての力量が問われる」と語った。