レバノン情勢、悪化の一途=イスラエル侵攻で「ガザ再現」懸念

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 【カイロ時事】イスラエルは米国と共に対イラン軍事作戦を進める一方、レバノンでは親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対する掃討のため地上侵攻に踏み切り、戦線を拡大させている。レバノン情勢は悪化の一途をたどり、イスラエルの作戦で荒廃したパレスチナ自治区ガザの状況が再現されかねない。
 イスラエル軍は16日、過去数日間のうちに「限定的で対象を絞った地上作戦を開始した」と発表。作戦の狙いについて、レバノン南部でヒズボラの拠点を破壊してイスラエル国境付近での「前哨防衛」を強化すると説明した。
 イスラエルは2023年以降、イスラム組織ハマスの「軍事インフラ解体」などを目的にパレスチナ自治区ガザで地上侵攻を含む大規模作戦を展開。市街地は壊滅状態となった。レバノン侵攻が「限定的」である保証はない。
 イスラエルのカッツ国防相は16日、レバノンで「まさにガザで行ったこと」を実行すると警告。家を追われたレバノン南部の住民はヒズボラが国境付近で暮らすイスラエル市民の脅威でなくなるまで「帰宅できない」と主張した。
 イスラエルとヒズボラはガザ情勢を受けて衝突したが、24年11月に停戦が発効し、レバノン政府がヒズボラの武装解除を進めていた。ただ、同政府のヒズボラに対する影響力は限定的で、武装解除の実現を疑うイスラエル軍は断続的にレバノンへの空爆を続けていた。
 今月2日、ヒズボラが対イラン軍事作戦への報復としてイスラエルに攻撃を加えると、イスラエルは「重い代償を払わせる」(ネタニヤフ首相)と一気にヒズボラへの攻勢を強めた。
 レバノン当局によると、2日以降の死者は900人近くに上り、避難民は100万人を超えた。ヒズボラの最高指導者カセム師はイスラエルとの交戦を「存亡を懸けた戦い」と位置付け、「最後まで戦う」と徹底抗戦を誓う。停戦に向けてフランスなどが仲介に動いているが、進展は見られない状況だ。 
〔写真説明〕16日、レバノン南部マルジャユン近郊で、イスラエル軍の攻撃を受けて立ち上る煙(AFP時事)