米国に不信、協調機能せず=対イラン、巻き込まれ懸念―NATO各国

人類が月面に再び立つ日も近い?

 【ベルリン時事】米国を除く北大西洋条約機構(NATO)各国は、対イラン軍事作戦に加わらなかった。NATOを軽視するトランプ米政権への不信感から、同盟の協調は機能不全に陥っている。ただ、湾岸産油国へのイランの反撃が拡大する中で経済への影響は無視できず、巻き込まれることへの懸念が高まっている。
 「何百万人もの運命を賭けたロシアンルーレットにはとても付き合えない」。スペインのサンチェス首相は3日、出口戦略が不明瞭な作戦に真っ向から異を唱えた。フランスのマクロン大統領は「国際法の枠外にあり、受け入れられない」、カナダのカーニー首相は「米国とイスラエルを含む全ての当事者に国際的なルールを尊重するよう切に願う」と明確に批判している。
 米国と「特別な関係」を誇る英国のスターマー首相さえ「イラクの過ちを忘れていない」と言及。米国に引っ張られる形で法的根拠があいまいなまま参戦し、批判を浴びたイラク戦争を引き合いに、支持を拒否した。結局、条件付きで英軍基地の利用を米国に認めたものの、空爆による体制打倒の方針には公然と疑義を呈した。
 トランプ大統領は3日、「スペインとは一切関わりたくない」などと各国の非協力な姿勢に憤慨。英国にも怒りの矛先を向け、「ウィンストン・チャーチルはいない」と第2次大戦の対独作戦で共闘した当時のチャーチル首相の名前を挙げ、米英関係の変化に失望を示した。こうしたあつれきは高関税政策にまい進し、同盟国デンマークに自治領グリーンランドの移譲を強硬に迫るトランプ政権への深い不信感に根差している。
 しかし、中東に点在する欧州各国の軍事基地がイラン反撃の対象となり、ガソリン価格が上昇するなど市民生活への影響も拡大。英仏などはイランを刺激しないよう「自衛目的」を強調しつつ、艦艇や戦闘機の派遣に動かざるを得なくなっている。
 一方、ユダヤ人迫害の歴史的責任からイスラエルを支え続けてきたドイツのメルツ首相は「同盟国やパートナーに説教している場合ではない」とイラン攻撃を擁護。3日に訪米した際、スペインや英国に不満をぶちまけるトランプ氏の傍らで口をつぐむ様子がテレビ中継され、「(欧州としての連帯の欠如に)驚いた」(スペイン外相)とひんしゅくを買った。
 もっとも英仏独は、これまで長年にわたりイラン核問題の話し合いによる解決を試みてきたが、何ら成果を出すことができなかった。メルツ氏は国際法上の問題が伴うことを認めつつも、「必要であれば軍事力を用いる構えがなかったことが(失敗の)一因だった」と無力感をにじませた。 
〔写真説明〕トランプ米大統領(最前列右から2人目)ら北大西洋条約機構(NATO)加盟各国の首脳=2025年6月、オランダ・ハーグ(AFP時事)