【ニューヨーク時事】米国とイスラエルによるイラン攻撃を巡り、国際法上の正当性を疑問視する声が相次いで上がっている。国連憲章は加盟国に武力行使を禁じているが、今回の攻撃が認められている自衛権の行使に当たるのか、明確な根拠が示されていないためだ。
国連憲章第2条は「全ての加盟国は、その国際関係において武力による威嚇または武力の行使を慎まなければならない」と規定。一方で、第42条では外交措置では不十分と安保理が認めた場合に、「国際の平和及び安全の維持または回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動」が可能と定め、第51条は「加盟国に対して武力攻撃が発生した場合」に自衛のための軍事力行使を容認している。
今回の作戦について、トランプ米大統領は「イランからの『差し迫った脅威』を排除し、米国民を守る」と正当性を主張。イスラエル側も、弾道ミサイルと核開発の「脅威」の排除が目的としている。いずれも、話し合いで解決できなかったイランの核開発計画を実力で阻止することが自衛権行使の範ちゅうに収まるとの立場だ。
しかし、米国際法学会は声明で「トランプ氏はイランによる差し迫った攻撃の証拠を何ら提示しておらず、先制攻撃を正当化する根拠はない」と批判。「国連憲章が定める武力行使禁止の違反に当たる」と指摘した。国際法の専門家でつくる国際法律家委員会(ICJ、本部ジュネーブ)も、攻撃は「国連憲章及び国際法の重大な違反だ」と断じた。4日に明らかになったスリランカ沖でのイラン艦撃沈についても、本国から遠く離れた海域での多国間共同訓練から帰還途中のフリゲート艦が「差し迫った脅威」に当たるのか疑問だとの指摘がある。
また、民間人の犠牲について国際人道法の観点からも懸念が示されている。イラン南部の学校では死者が165人を上回ったと報じられており、国連児童基金(ユニセフ)は「民間人や学校などの民間施設への攻撃は国際法違反」とする声明を発表。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルも「民間人の保護が最優先されるべきだ」と指摘し、全ての当事者に国際人道法の順守を呼び掛けている。
〔写真説明〕イスラエルと米国によるイランへの軍事攻撃を受け、国連安全保障理事会の緊急会合に集まる各国代表者ら=2月28日、米ニューヨーク(EPA時事)