米軍の世界展開を支えてきた超大型輸送機C-5とC-17。老朽化が進む両機の後継として、2機種を単一プラットフォームに統合する次世代機「NGAL」構想が浮上しています。最大サイズを追求しない合理化の狙いと課題とは。
二大巨神、ついに統合へ!?
アメリカ空軍が保有する戦略空輸能力は、冷戦期以来、2つの巨人によって支えられてきました。すなわち、最大級の搭載量を誇るC-5「ギャラクシー」と、機動性と汎用性に優れたC-17「グローブマスターIII」です。
前者は圧倒的な容積と重量物搭載能力によって戦略展開の背骨を形成し、後者は優れた短距離離着陸(STOL)性能と高い運用柔軟性によって戦域内外の橋渡しを担ってきました。この「2本立て」体制は合理的でありましたが、両機の老朽化が進む現在、空軍は新たな選択を迫られています。
現状を確認すると、アメリカ空軍のC-17は平均機齢約22年で222機保有し、依然として空輸作戦の主力となっています。一方、C-5は平均機齢約37年の52機が在籍し、近代化改修によって能力を維持しているとはいえ、機体寿命という物理的制約からは逃れられないでいます。いずれも今後10~20年のスパンで後継機問題が顕在化することは明白といえる状況です。
しかしながら、本格的な後継機の開発はまだ始動していません。一方で、C-5はもちろん、C-17についても生産ラインはすでに閉鎖されており、再生産という選択肢は現実的ではなくなっています。
そこで浮上しているのが、両機種を単一プラットフォームで統合する構想「次世代エアリフター(NGAL)」です。これは、従来の大型輸送機の二層構造を再設計し、兵站体系そのものを刷新しようとする試みと位置付けられます。
NGALはC-5とC-17の中間的なサイズに設定され、コストはC-17級に抑制するといいます。実戦部隊への配備開始は2038年頃が想定されており、まずC-5を順次置き換えたのち、2048年からC-17の更新が行われる模様です。
新型機NGAL開発のカギは?
NGAL開発の鍵となるのは、要求性能の再定義です。貨物機は物資を搭載し空輸するという根本的な任務から「大は小を兼ねる」特性があります。航空貨物は基本的に「パレット」と呼ばれる標準化された荷台に積載され機内に収納されます。したがって輸送機は「何個のパレットを運べるか」が重要となりますが、こと軍用輸送機においてはパレットに収まらない規格外の大型貨物を搭載することが少なくありません。
仮にNGALがC-5とC-17の中間サイズになるとするならば、最大搭載能力はある程度犠牲になるでしょう。その場合、重装備部隊の大規模展開は、より多くの飛行回数を要するか、あるいは部分的に海上輸送との連接を前提とする運用へとシフトすることになります。
一方でC-17並みのコストで調達可能な機体であれば、保有機数を確保しやすく、可用性という観点では全体最適が図られる余地があるとも言えます。
従って、両者を単一機で代替する場合、搭載量・航続距離・滑走路要求長の三要素をどの水準で折り合わせるかが最大の論点となると考えられます。
2038年という目標年は決して遠い未来ではありません。どのような選択肢をとるにせよ、C-5とC-17の寿命は日々消費されています。2つの巨人が築いた空輸システムが今後転換点を迎えることは確実であり、単一機種による統合は、合理化かそれとも能力を損なう結果を生むか。空軍が描く次世代空輸の輪郭が、アメリカ軍の世界規模における機動力を左右することになるのは間違いないでしょう。