イラン情勢、利上げへの影響焦点=スタグフレーションなら対応困難―日銀

老朽化進む日本のインフラ設備

 米国とイスラエルによるイラン攻撃で、エネルギー価格の高騰が続けば、日銀が模索する追加利上げの判断に影響が及びそうだ。資源価格上昇が一過性ではなく、基調的物価の上振れリスクが高まれば、利上げが求められる。しかし、インフレが加速して消費が冷え込み、不況下の物価高である「スタグフレーション」に陥れば、日銀の対応は難しいものとなる。
 「今後の展開については見極め難いものがまだたくさんある」。日銀の氷見野良三副総裁は2日の和歌山市の記者会見で、「特定の展開を前提とすることは差し控える」と述べ、中東情勢の緊迫化が、金融政策運営に及ぼす影響について明言を避けた。
 ガソリンや電気料金が大きく値上がりすれば、生産や運送コストの上昇から幅広い製品で値上げの動きが鮮明になる可能性が高い。さらに、「有事のドル買い」に拍車がかかり円安が進めば輸入インフレが再燃することも考えられる。
 また、高インフレが長期化すれば、コスト増を価格転嫁できない中小企業は賃上げに消極的になり、家計の消費も冷え込んで、景気を下押しする。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「原油価格が2倍程度になれば、景気悪化と物価高騰が共存するスタグフレーションの様相が強まり、景気後退に陥るリスクがある」と懸念する。
 インフレには利上げで対応するのが金融政策の通例だ。しかし、スタグフレーション時は、物価上昇を抑え込むために金利を上げると景気悪化を助長する。逆に景気を下支えするため、利下げするとインフレが深刻化する。日銀幹部も「一筋縄ではいかず、極めて難しい政策対応になる」と指摘している。