原油輸送、高まる危機感=過去に備蓄の協調放出も

人手不足・老朽化・災害の三重苦

 【ワシントン時事】米イスラエル両国とイランによる攻撃の応酬が激化する中、原油供給寸断への危機感が高まっている。原油輸送の要衝ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となり、海運大手は航路の切り替えを急ぐが、輸送コストの増加は原油価格の上昇につながりかねない。過去にはロシアのウクライナ侵攻に伴う供給不足や価格高騰を受け、米国主導で各国が協調して備蓄石油の放出に踏み切っている。
 ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約2割が行き交う大動脈。イランメディアによると、同国の精鋭軍事組織「革命防衛隊」は2日、海峡を通過する船舶を「焼き払う」と警告、封鎖を宣言した。これまで、付近で攻撃に遭った船も出ており、武力による威圧が強まっている。
 2022年には、日米欧など主要な石油消費国が加盟する国際エネルギー機関(IEA)が、ウクライナ侵攻後の価格急騰などに対処するため、備蓄石油を協調放出することで合意。米国が戦略石油備蓄を放出、日本や欧州諸国も追随し、放出規模は過去最大となった。
 日本には現時点で254日分の備蓄がある。供給がすぐに途絶するわけではないが、今後、備蓄放出を迫られる可能性がある。また、中東情勢の混迷が長期化すれば、放出した原油の再調達に手間取る恐れもある。トランプ米大統領は大規模攻撃に踏み切る考えを示唆、イランも報復を強めており、早期収拾の見通しは立っていない。
 ルビオ米国務長官は2日、イランが「世界のエネルギーの20%を遮断する可能性がある」と指摘。エネルギー価格の上昇を緩和する措置を「既に整えている」と述べ、近く対策を打ち出す考えを明らかにした。
 一方、欧米メディアによれば、欧州連合(EU)欧州委員会は、IEAと週内にもエネルギー価格や供給について緊急協議する見通しだ。