【ワシントン時事】米国とイスラエルによるイラン攻撃の経済的な影響が拡大している。原油輸送の大動脈ホルムズ海峡では、民間の船舶が攻撃されて懸念が現実のものとなり、航行ルートは事実上遮断された。戦闘の長期化による供給途絶の危機が差し迫る。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、イラン攻撃を受け、保険会社はホルムズ海峡を通過する船舶の保有者に対し、保険の解約や大幅な値上げを通知した。海運会社などは、高まる一方の戦時リスクで身動きが取れず、「海峡の通航がほぼ停止した」(同紙)状況に陥っている。ペルシャ湾を迂回(うかい)した航路への切り替えが進み、さらに輸送コストの上昇が避けられない。
原油先物市場では、米国産標準油種WTIが一時1割上昇。攻撃の手を緩めない米国とイスラエルに対し、イランは湾岸諸国の米軍施設なども攻撃対象に加えており、「原油価格の上昇はほんの始まりにすぎない」(米紙ワシントン・ポスト)との見方が強まっている。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国でつくる「OPECプラス」は、4月の原油増産で合意。ただ、余剰生産能力の多くが中東地域で、攻撃が拡大すれば今後の原油輸送にも響く。原油高騰に歯止めをかける効果は薄いとみられ、輸入の9割以上を中東に依存する日本にもガソリン価格上昇など影響が波及しそうだ。
アラブ首長国連邦(UAE)では、ドバイにある中東最大級のコンテナ港ジュベル・アリ港で迎撃されたミサイルの破片によって火災が発生。物流網への懸念が高まる。米アマゾン・ドット・コムのデータセンターでも火災が起き、施設への電力供給を一時遮断する事態に陥った。混乱は各地で広がり続けている。
〔写真説明〕ホルムズ海峡を通過する船舶=2月25日、アラブ首長国連邦・フジャイラ(AFP時事)