旅客機の「弱点」じつは窓だった!? 開発進む「窓なし機」メリット多数の理由とは

老朽化進む日本のインフラ設備

飛行機の窓から見える景色は、旅の楽しみのひとつでもありますが、将来その窓が消えるかもしれません。実は窓は機体にとっての「弱点」。窓を減らした方が、飛行機にとってメリットが大きいのです。将来はどうなるのでしょうか。

窓は機体の弱点だった? 構造から見直す燃費改善

 空を飛ぶ飛行機にとって、窓は単なる景色を楽しむためのものではなく、実は機体を作る上での大きな「課題」でもあります。

 高い空を飛ぶ飛行機は、機内の気圧を保つためにパンパンに膨らんだ風船のような状態になっています。

 頑丈な胴体でその圧力を支えていますが、窓はその壁に“穴”を開けているのと同じです。窓の周りには重い補強材が必要になり、それが機体の重量を増やす原因になっていました。そのため、もし窓を大幅に減らすことができれば、機体はより丈夫になり、余分な補強材を減らして軽量化を図ることも可能になります。

 一般的に、機体の軽量化を図ると、燃費改善にもつながるとされており、窓まわりの構造を見直して軽くすることも、その取り組みのひとつといえるでしょう。

 加えて、窓を減らすと胴体の凹凸も減るため、その表面が滑らかになることで空気抵抗の低減にも寄与する可能性があります。結果として、さらなる燃費の改善やスピードアップに貢献すると考えられます。

窓なくして燃費60%削減したビジネスジェットの衝撃

 この「窓を減らす」というアプローチが、いよいよ現実味を帯びてきました。

 アメリカのスタートアップ企業、オットー・エアロスペース社は、層流空力を徹底追求したビジネスジェット機「ファントム3500」の開発計画を発表しています。同機は客室窓がない滑らかな胴体形状による高効率機として注目されています。

 なお、メーカーでは層流を維持しやすい胴体形状やカーボン複合材の採用などにより、同等クラスのビジネスジェットと比べて燃料消費を最大60%削減できると説明しています。ちなみに計画では、初飛行は2027年ごろ、運用開始は2030年ごろを目標に据えています。

 一方、窓がない代わりに、客室の壁にディスプレイを貼り付ける構想もあります。

 外側に設置されたカメラの映像をリアルタイムで映し出す“バーチャル窓”によって、これまでの小さな窓では味わえなかった大パノラマの絶景を楽しむことができるのです。エミレーツ航空のファーストクラスなどではすでに一部で導入されています。

 もちろん、密閉された空間への不安や、緊急時に外を直接目視する必要があるという安全上の課題も残っています。

 それでも、窓を「見るもの」から「映すもの」へ変えることで、飛行機はより環境に優しく、自由な空間へと進化しようとしています。