高市早苗首相は4月初旬にかけ、先進7カ国(G7)のうち3カ国のトップと相次いで会談するなど活発に外交を展開する。就任後初めて米国を訪れ、フランスとカナダの首脳を日本に迎える。米中首脳会談をにらみ、「自由で開かれた国際秩序」の維持へ布石を打ちたい考えだ。
トランプ米大統領は3月31日から4月2日の日程で中国を訪問し、習近平国家主席と会談する。世界経済や安全保障に広範な影響を及ぼすとみられ、各国が注視する。日本の頭越しにディール(取引)する可能性も指摘されており、高市政権幹部は「米中関係にのみ込まれてしまえば、日本はプレゼンスを失いかねない」と警戒する。
米、イスラエル両軍の対イラン攻撃により、国際秩序は一段と揺らいでいるのが実態。G7の力点が中東の混迷に向かう事態も想定される。
19日にワシントンで行う日米首脳会談で、高市氏は東アジア安保への継続的な関与を働き掛ける。「相互関税」が違憲とされた後も5500億ドル(約86兆円)の対米投融資を継続する方針を示し、防衛力を抜本的に強化する意向を改めて表明。「揺るぎない日米同盟」を内外にアピールすることを狙っている。
これに前後する形で高市氏はカナダのカーニー首相、フランスのマクロン大統領と会う。シンガポールのウォン首相の来日も今月予定されており、トランプ、習両政権との距離感など共通の外交課題に関して認識のすり合わせを目指す。
自国第一主義のトランプ氏との間で、欧州主要国やカナダはあつれきを抱える。こうした中、マクロン氏は昨年12月、カーニー氏は今年1月に訪中。経済面を中心に協力を深めることで習氏と一致した。フランスで6月に開かれるG7首脳会議(サミット)に習氏を招待する案が報じられたこともある。
高市氏は仏加首脳らとの会談で、台湾有事を巡る自身の発言に絡めて中国が対日圧力を強める現状を踏まえ、日本の立場に理解を求める見通し。資源・エネルギー安保分野をはじめとする同志国連携も確認したい考えだ。外務省幹部は「来日してもらうこと自体で結束を示せる」と期待する。
〔写真説明〕イラン情勢に関して厳しい表情で記者の質問を聞く高市早苗首相=2月28日、首相官邸