米、カナダと一転閣僚協議へ=関税敗訴、北米貿易協定に変化

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 【ワシントン、ニューヨーク、サンパウロ時事】貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の見直しを巡り、3カ国の力関係に変化が生じつつある。米連邦最高裁が、トランプ政権の関税を無効と判断したためだ。米政権は、関係悪化から先延ばししてきたカナダとの閣僚協議を一転して近く開催すると表明した。
 「われわれはオープンだ」。グリア米通商代表部(USTR)代表は25日、カナダとの協議について態度を一変させた。判決前には、カナダとの交渉は「より困難な状況にある」と語っていた。
 米政権は2042年までの延長を決める7月の協定見直しについて、両国と個別に交渉を進める方針だ。1月末にメキシコと閣僚協議を実施した一方、カナダとの協議は遅れていた。交渉の行方次第では、関税免除のため現地進出を進めてきた日本企業も大きな影響を受ける。
 米国の態度一変には、カナダとメキシコへの圧力が弱まることへの焦りがにじむ。最高裁判決を受け、米政権は24日、両国に対する合成麻薬「フェンタニル」関連の関税を廃止。全世界への一律10%関税を発動した。
 新関税はUSMCAに準拠する製品には適用されないが、それ以外の品目は原則、カナダ(35%)、メキシコ(25%)とも関税変更により税率が低下した。カナダのルブラン対米貿易担当相は「圧力に直面してきた分野が助かる」と言及。地元メディアによると、メキシコのエブラルド経済相は「(以前より)有利になりマイナスの影響はない」と強調する。
 カナダとメキシコは閣僚協議を進めており、2月中旬にも会談した。ルブラン氏は26日、「カナダはメキシコと足並みをそろえている」と指摘。翌週に米国との協議を開くと明かした上で、「3カ国での協定更新に悲観していない」と自信ものぞかせた。
 カナダのカーニー首相は2月末から3月7日にかけ、インド、オーストラリア、日本を訪問。USMCA活用を念頭にした新規投資を呼び掛ける。米国以外の国との関係強化を進め、協定見直しに向けた対米圧力を強める思惑もありそうだ。
 米政権はメキシコとも近く閣僚協議を実施する考え。関税措置の撤回を受け、カナダとメキシコの「反撃」が協定見直し交渉に与える影響が注目される。 
〔写真説明〕カナダのルブラン対米貿易担当相(左)とメキシコのエブラルド経済相=2月16日、メキシコ市(EPA時事)
〔写真説明〕グリア米通商代表部(USTR)代表=2025年7月、ワシントン(EPA時事)