東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で失われた地域の産業を復興するため、福島県は「ドローン・ロボット」など6分野の補助金を手厚くし、先端技術集積やスタートアップ(新興企業)支援に力を入れてきた。県はいまやドローン関連企業が集まる「聖地」(県幹部)とも呼ばれる。産業用機体の製造・販売を手掛ける「イームズロボティクス」(南相馬市)もその一つ。「空の物流」の実用化を目指しており、「ドローンが身近に活用される社会を福島から作る」と意気込む。
イームズ社は2016年、テレビ局の空撮などを請け負う関連会社として設立された。18年にドローンの開発・製造に着手。22年から佐川急便などと協力し、ドローンを使った宅配やフードデリバリーの実用化に向け、県内外の山間部や離島で実証実験を続けてきた。
福島県は24年6月、ドローン物流の実現に向けた規制緩和などを柱とする国の戦略特区に指定された。これがイームズ社にとって追い風となった。操縦者が目視できない状態でも自動で人がいる地帯を飛ぶ「レベル4」の柔軟な飛行経路設定が認められるなど、より高度な飛行実験に挑戦しやすい環境が整った。
イームズ社は規制緩和を受け、複数のドローンを同時に飛ばしたり、国内で初めて鉄道上空を横切らせたりする実験を積極的に実施。空路配送の実用化へ着実に歩みを進めてきた。曽谷英司社長は「30年度までにはドローン物流を当たり前にしていきたい」と話す。
ドローンは、物流の人件費や離島・山間部の配送コストの低減のみならず、災害時の活用にも期待が高まる。
陸路が寸断され、多数の集落が孤立した24年1月の能登半島地震では、イームズ社を含む複数の事業者が現地入りし、空からの被害状況の調査、支援物資の輸送に協力した。曽谷社長は「集落孤立が長期化する中で、重要な役割を果たした」と話し、ドローン産業の発展が社会にもたらす影響の大きさを強調した。
〔写真説明〕イームズロボティクスの曽谷英司社長=6日、福島県南相馬市
〔写真説明〕イームズロボティクスの曽谷英司社長=6日、福島県南相馬市
〔写真説明〕イームズロボティクスの曽谷英司社長=6日、福島県南相馬市