ホンダのバイクぎっしり積んでます! ついに登場「スゴいコンテナ船」商用デビュー 3人分くらいの頭脳で自動運航!?

人手不足・老朽化・災害の三重苦

新造時から自動運航システムを備えた次世代型の内航コンテナ船「げんぶ」が、東京―神戸間の航路で商用運航を開始しました。日本財団が推進する無人運航船プロジェクトの一環で、物流業界が抱える課題解決への貢献が期待されています。

ホンダのバイクをぎっしり積んだコンテナ船!?

 日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」のなかで唯一、“自動運航システムをイチから開発し、新造時から備えた”という次世代コンテナ船の商用運航が始まっています。

 この船は鈴与海運が運航する「げんぶ」です。2026年1月28日に「自動運航船」として国土交通省の船舶検査に合格し、1月30日から東京―神戸間で商用運航をスタート。同日、神戸港ポートターミナル(新港第4突堤)へ接岸する際には、報道関係者らの目の前で実際に自動離着桟機能を使用し、船員が操船することなく、船自らがエンジンとスラスターを制御しながら、狙った通りの位置に停止させました。

 自動運航が始まってからの最初の荷主はホンダ(本田技研工業)で、完成バイクを積み込んだコンテナを輸送しています。

「国内物流の主力はトラックであるが、労働人口の減少や環境負荷といった課題が表面化していく中で、この輸送構造を将来にわたって維持できるのかということは、荷主としても強く意識している」

 ホンダのサプライチェーン購買本部で生販物流・間接材統括部長を務める大澤裕一氏はこう述べたうえで、無人運航船が「定期内航のコンテナ輸送という物流の現場で使われる形で実装されたことは非常に大きな意味がある」と期待を込めました。

「げんぶ」は旭洋造船(山口県下関市)で建造され、2025年10月に竣工しました。総トン数は5689トン、コンテナ積載数は696TEU(=20フィートコンテナを696個積める)で、鈴与海運の運航船としては最大級の船型です。同社の東日本航路に投入されており、神戸を出発した後、大阪、名古屋、清水、横浜の4か所に寄港し、東京まで1週間かけて貨物を運びます。

 日本財団の海野光行常務理事は「げんぶ」について、「無人運航船として建造時から設計することで、必要な機能を全て搭載できた」と話します。

「船舶の運航には操船だけでなく、エンジンなどの運用も必要になるが、『げんぶ』では機関部の監視や操作の遠隔化を実現した。これにより、船舶運航に必要な船橋部と機関部、双方のタスクの自動化に成功した」(海野常務)

「船員なし」でどうやって動く?

「げんぶ」は高性能なカメラとレーダーを搭載しており、センサーとコンピュータービジョンを活用することで他船や障害物といった周囲の状況を認識しています。

 これらとセンサーからの情報を基に周囲の船舶や障害物を避けるルートを自動で計画し提案する「プランナー」、提案されたルートを海図情報と照らして浅瀬や航行禁止海域を航行していないか判断する「アクション・プランニング・ユニット(APU)」、安全だと判断されたルートに沿って船を動かす「ドライブ・トレイン・コントローラー(DTC)」が組み合わさって自動運航を可能にしました。

 ブリッジには運航に必要な機能を集約させ、前方の大型モニターに表示される情報を基に、座ったまま操船ができるコックピット型中央操船コンソールを設置。甲板に行かずブリッジから遠隔操作ができるウインチドラムや、着桟時の操船機能を向上させる船尾スラスター、船橋と陸上の両方からリアルタイムで状態を監視できる主機関など、最新鋭の内航コンテナ船としてさまざまな新機軸が盛り込まれています。

「げんぶ」の船舶管理を手掛けるイコーズの畝河内毅社長は、「自動運航技術は船員の仕事を奪うものではなく、船員を支え、海運を持続可能にするための力強いパートナーだと私たちは考えている」と話します。

「人口減少と高齢化に伴う船員不足は業界全体の喫緊の課題だ。日本の物流を支えてきた熟練船員が引退する一方で、若い世代の担い手を十分に確保できているとは言えない」

 畝河内社長はこう危機感を示した上で、「この問題を解決するためには自動運航船を普及していかないと解決できない。幸いにも非常にたくさん問い合わせを受けており、『げんぶ』で検証を重ねて、多くの人が使えるよう標準化を行い、次の船に繋がっていくことを目指していきたい」と強調していました。