米、対中劣勢に拍車=代替関税、首脳会談へ暗雲

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 【ワシントン時事】トランプ米政権の中国に対する影響力が薄れている。昨年の貿易交渉では、「アキレス腱(けん)」のレアアース(希土類)輸出規制を突き付けられ、譲歩を迫られる場面が目立った。交渉力の源泉となってきた関税措置の大転換で、首脳会談に向け劣勢に拍車が掛かっている。
 グリア米通商代表部(USTR)代表は25日、米メディアに対し、新たに導入の検討を進める通商法301条に基づく関税について、中国に対しては「引き上げるつもりはない」と言い切った。関税を交渉材料に米国産大豆の購入拡大などの条件を引き出してきたが、連邦最高裁で敗訴し、撤廃を余儀なくされた。
 中国は、米政権の関税政策の転換によって最も税率が下がる国の一つだ。全世界に対する10%分が賦課された一方、相互関税の一律10%分に加え、合成麻薬「フェンタニル」の米国流入を理由に課した10%分が停止した。
 トランプ大統領は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくこれらの関税を、自らの権限として税率を自由に設定し、「ディール(取引)」に使ってきた。代わりに表明した通商法301条は、高関税を課すこともでき、新たな交渉材料となり得る。だが、グリア氏はこの可能性さえ打ち消し、融和姿勢を示した形だ。
 中国は昨年の首脳会談で、レアアースの輸出規制を1年間強化しないことを約束したが、その土台は崩れた。半導体など幅広い品目に使われる戦略物資の安定供給に危機感を強める米政権は、他国との連携を急ピッチで進めるが、中国が再び輸出規制の「カード」を持ち出す可能性は拭えない。米メディアは「交渉のテーブルは再編されつつある」(ワシントン・ポスト紙)と伝えており、トップ会談の行方に暗雲が垂れ込めている。 
〔写真説明〕中国の習近平国家主席(写真左)とトランプ米大統領(AFP時事)