日野町事件は、再審開始を決めた裁判所の判断に対して検察が即時抗告や特別抗告を行い、大津地裁の開始決定から確定までに7年を超える歳月を要した。検察の不服申し立ては再審請求手続きが長期化する要因となっており、全面禁止を盛り込んだ制度改正法案を超党派の議員連盟がまとめた。一方、法務省の法制審議会は維持する内容の制度改正を答申。今国会で政府が答申に沿った法案を提出する見込みだ。
阪原弘さんは服役中の2011年に病死し、遺族が12年に第2次再審請求を申し立てていた。18年7月に大津地裁が再審開始を決めると、大津地検は不服として大阪高裁に即時抗告。自白の信用性を否定し、捜査員による暴行や脅迫の疑いにも言及した地裁決定は受け入れ難いと判断したとみられる。
だが、大阪高裁は23年2月、「確定判決の事実認定と、自白の根幹部分の信用性に合理的な疑いが生じた」として、即時抗告を棄却した。これを不服として大阪高検は翌3月に特別抗告。同高検の次席検事は「(同高裁の)決定は承服し難く、適正な判断を求める」とした。
結局、最高裁で棄却されたが、大津地裁の開始決定から約7年7カ月の月日が流れた。これまでも検察の不服申し立てによって、殺人事件などの再審開始は大幅に遅れた。「布川事件」(茨城県)では、裁判所の開始決定に検察が即時抗告や特別抗告をし、開始確定までに約4年3カ月かかった。「松橋事件」(熊本県)でも検察は不服申し立てを繰り返し、最高裁で棄却されるまでに約2年3カ月を要した。
〔写真説明〕大津地裁=大津市