乗れるのは2月末まで! 世界で名古屋だけ?「異形のエスカレーター」見てきた 直下には謎の「エスカレーア」も

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愛知県名古屋市で営業する名鉄百貨店本店には、世界で唯一ともいわれるエスカレーターがあります。閉店前に見に行ってみました。

世界でココだけ! 名鉄百貨店本店に残る激レア「エスカレーター」

 名古屋駅の東側にある名鉄百貨店本店。ここは、待ち合わせ場所として知られる「ナナちゃん人形」があるなど、愛知県民にとっては馴染み深い店舗です。

 加えて、名鉄百貨店本店には、手すりが垂直に落ちるタイプの珍しいエスカレーターがあります。じつはこのエスカレーター、現存するのは世界唯一なのだとか。実際に現地へ行って確かめてきました。

 そもそも名鉄百貨店本店は1954年に開業と、70年以上の歴史を刻んできた名古屋の老舗です。昭和、平成、令和にわたって営業を続けてきましたが、2000年には競合となる「ジェイアール名古屋タカシマヤ」が同じく名古屋駅近くで営業を開始。経営状況が悪化します。

 その後伊勢丹などと業務提携を行いますが、経営は回復せず2026年2月末をもって閉店することが決まりました。これを受け、現在では閉店感謝セールを実施するとともに「71年分の歴史展」といった展示会も実施しています。

 歴史ある百貨店だけに、ここには時代を感じる珍しいエスカレーターがあります。それが8階と9階をつなぐエスカレーターです。

 最大の特徴といえるのが手すりの部分にあります。一般的なエスカレーターは、手すり部分がクルっと丸まった形で入り込み、それが半周してまた戻ってくるという形になっています。

 しかし、名鉄百貨店のエスカレーターの手すりは、末端部分が床に向かって垂直にストンと落ちるような形状になっているのです。正式名称は東芝エレベータが1960年代に開発した「C形エスカレーター」。一般的な巻き込み型エスカレーターが登場する以前に、デザイン性を重視して作られた貴重なものだそうです。

 名鉄百貨店の公式サイトによれば「世界でも2基しかないと言われているとても貴重なもの」とのこと。なお、2基というのは、このエスカレーターの上りと下りを合わせた数なので、名鉄百貨店にしかないことになります。

 なお、床部分に目を転じると、そこには「東芝」の文字がアルファベットの筆記体で埋め込まれています。

「エスカレーア」って何よ?

 外観からわかる大きな違いは手すりの形状くらいですが、現場へ行ってみるとその違いはかなり大きく、見つけた瞬間「これか!」と思ってしまいました。特に横から見ると、他のエスカレーターとの違いは一目瞭然。何とも不思議な形状をしています。

 乗ってみると、そこまで他のエスカレーターと違いは感じません。ただ、古いエスカレーターだけあって、ステップ部分にはかなり錆が浮かんでいます。それでも手すり部分はキレイな赤色を保っていて、熱心に手入れをしているのが伺えました。

 ちなみに、名鉄百貨店本店にある珍しいエスカレーターはこれだけではありません。7階から8階にも希少なエスカレーターがあります。

 こちらは世界的なエスカレーターメーカーであるオーチス社製の製品になるのですが、床板には「OTIS ESCAL-AIRE」と記載されています。つまり正式には「エスカレーア」。すでに生産終了となっており、これまた残っているのは名鉄百貨店のみだといわれています。

 現地では、筆者(鈴木伊玖馬:乗りもの好きライター)以外にも多くの方が写真を撮っていました。近くにはエスカレーターを説明するパネルも置かれており、名鉄百貨店の名物スポットになっている模様です。

 前述したように、この2月末をもって名鉄百貨店本店は完全閉店します。ということは、これら2種類のエスカレーター(エスカレーア)も、間もなく世界から姿を消してしまうということです。その希少な「乗りもの」の動く姿が見られるのは今のうちといえるでしょう。