韓国地裁、全氏との違い考慮=強硬論流されず死刑回避―尹前大統領判決

欧米で高い比率 PB商品とは?

 【ソウル時事】韓国のソウル中央地裁は19日、「非常戒厳」宣言を巡り、尹錫悦被告の内乱首謀罪の成立を認める一方、最高刑である死刑は避ける判断を下した。特別検察官は、1979年の「粛軍クーデター」などで無期懲役の確定判決を受けた全斗煥元大統領よりも「厳しい断罪が必要だ」として死刑を求刑したが、地裁は前例との違いも考慮。死刑を求める一部の強硬な世論に流されず、法的判断に徹した形だ。
 判決は、戒厳宣言の影響により「社会が政治的に二分され、極端な対立に陥っている」と非難。尹被告の罷免を受けて大統領選が行われ、戒厳を巡る多数の捜査や裁判が行われているとも指摘し、「社会的なコストは計り知れない」と指弾した。
 一方で、戒厳宣言が「非常に緻密に計画されたようには見えない」とも言及。「物理的暴力の行使を最大限自制しようとした事情もみられ、ほとんどの計画は失敗に終わった」との見方を示した。
 最高裁は判例で死刑について「犯行の責任の程度や刑罰の目的に照らし、誰もが正当と認められる特別な事情がある場合にのみ許される」と厳格な見解を示している。特別検察官は死刑求刑の際、全氏の判決に触れ、「過去の断罪にもかかわらず内乱の企図が繰り返された」とし、より重い責任追及が必要だと訴えていたが、退けられた。
 全氏はクーデターによる権力掌握と同時に、多数の死者を出した80年の光州事件の張本人として糾弾されてきた。地裁は、今回の非常戒厳では動員された軍も及び腰で死傷者が出ず、国会の解除決議により「6時間の内乱」で終わった点を踏まえ、全氏以上の厳しい処罰は妥当性に欠くとみたもようだ。
 尹被告を支持してきた一部の強硬保守層は無罪を求める一方、革新系与党「共に民主党」は死刑が相当と主張してきた。政治的分断が深まる中、死刑を回避しつつも、無期懲役であれば厳罰を求める世論に一定程度応えられると判断した可能性もある。
 国会で圧倒的多数を占める共に民主党は最高裁裁判官の定数を拡大する司法改革法案などを通じ、かねて裁判所への圧力を強めてきた。鄭清来代表は「国民の法感情に反する非常に不十分な判決だ」と反発したが、今回の判決に対する「国民感情」を慎重に見極めるとみられる。