担当する保護対象者との面接中に保護司が殺害された大津市の事件は、現場に衝撃を与えた。昨年12月には、改正保護司法が成立するなど制度見直しが進んでいるが、現場からは「安全対策と対象者との信頼関係構築の両立が課題」との声が上がっている。
法務省が事件後、約1万6000人の保護司を対象に実施した聞き取り調査では、約1割が「不安を感じている」と回答し、自宅での面接も理由に含まれていた。その後、退任したり、新任の委嘱手続きを辞退したりする人もいたという。
そこで同省は2024年7月、自宅以外の面接場所の確保といった対策を公表。さらに、制度見直しを議論する有識者検討会の報告書を踏まえ、安全確保に関する国の責務などを明記した改正保護司法が成立し、今年12月までに施行予定だ。
全国保護司連盟の原沢和茂事務局長は、改正法について「大きな前進」と評価する。ただ、公共施設などを利用しても、プライバシー保護のため密室で面接するケースが多いとして、「安全対策が十分とは言い切れない部分もある」と指摘した。
また、過度な対策や警戒は対象者との間に心理的距離を生じさせやすく、「兼ね合いが非常に難しい」とした上で、「彼らを信頼し、壁をつくらないことが重要だ」と話している。
元法務省保護局長で、中央大法科大学院の今福章二客員教授は、民間の保護司と協力関係にある同省の保護観察官が現場により深く関与できる体制づくりが重要だと強調。観察官の増員など「(国は)さらなる具体化策を取ってほしい」と求めた。