広島城天守、来月「閉城」=老朽化で内部や眺望見納め―被爆復興のシンボル

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 国の史跡である広島城跡(広島市中区)内にある天守が、老朽化に伴い3月22日に閉城する。天守の外観は今後も見学できるが、博物館として公開してきた内部の展示室や最上部第5層からの眺望は見納めとなる。米軍の原爆投下で倒壊し、復興のシンボルとして復元された現在の広島城。木造での復元を期待する声も多く、市は実現可能か検討を進めている。
 広島城は1589年、毛利輝元により築城を開始。1931年には天守が旧国宝に指定されたが、45年8月の原爆投下で爆心地から約1キロ地点にあった天守は倒壊した。戦後、木造仮設の2代目天守を経て、58年に現在の3代目が鉄筋コンクリート造りで復元された。
 閉城を控えた2月初旬、天守の歴史を紹介するカウントダウン企画展には多くの市民らが訪れ、学芸員の本田美和子さん(61)の解説に耳を傾けた。本田さんは、天守の構造や、被爆倒壊後の材木が市街地の生活再建に使われ、人々の役に立って姿を消していった歴史などを説明。3代目の再建には「原爆で壊れたこと自体が歴史だ」として反対意見があったことも紹介した。
 解説を聞いた山口県岩国市の男性(60)は「長い歴史を持っているので閉城は寂しい。新しい形で天守が再建されるといい」と期待を込めた。広島市安佐北区の男性(78)も「木造再建をぜひやってほしい」と語った。
 市は2021年、木造での復元に向けた調査・検討を開始。有識者会議を設置し、課題の整理を進めている。会議では、被爆以前や復興の歴史を伝える象徴的な存在となり得ることや、定期的な修理で半永久的に維持できる点などから、木造復元を「最有力」と指摘。ただ、市は仮に木造で復元しても、現天守を解体する必要があることなどから、完成は最短で49年度になると見込んでいる。
 広島城で通算24年間勤務した本田さんは「広島城の歴史は被爆の中の復興で生まれてきた。いろいろな人の思いが詰まった今の建物も再評価し、天守に愛着を持ってもらいたい」と話した。 
〔写真説明〕3月に閉城する広島城天守=3日、広島市中区
〔写真説明〕3月に閉城する広島城天守=5日、広島市中区
〔写真説明〕広島城天守内で企画展の解説をする学芸員の本田美和子さん(左奥)=1日、広島市中区