新STARTが失効=米ロ唯一の核軍縮枠組み―中国含め軍拡競争の恐れ

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 【ワシントン時事】核大国の米国とロシアの間で唯一残っていた核軍縮枠組みの新戦略兵器削減条約(新START)が5日、失効した。冷戦期に始まった核兵器削減の取り組みは重大な岐路を迎え、中国が核戦力を急拡大させる中、世界は新たな軍拡競争の時代へと突入しつつある。
 新START失効で、第1次戦略兵器制限条約(SALT1)を締結した1972年以降、米ロ間で初めて核兵器配備を制限する枠組みが消滅。後継の核軍縮体制を目指す交渉は進んでおらず、核廃絶に向けた道筋は不透明さを増している。
 トランプ米大統領はこれまで、中国の核戦力増強について「4、5年後には(米国に)追い付くだろう」と指摘。中国も交えた核軍備管理交渉の必要性を繰り返し主張してきた。ただ、中国側は米ロとの戦力差を理由に「公平でも合理的でもない」(外務省)として、交渉参加を拒否している。
 ルビオ米国務長官は4日の記者会見で「真の軍備管理を実現するため、膨大かつ急速に増加する中国の核保有量を含めないことは不可能だ」と強調した。
 ロシアのプーチン大統領は条約の1年延長を提案していたが、米側から回答はなかった。ロイター通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は5日、記者団に「条約は終わりを迎えた。われわれは悲観的に捉えており、遺憾だ」と表明。「いずれにせよ、ロシアは核兵器分野の戦略的安定性に関わる問題については、責任ある注意深い対応を続ける」と述べた。
 トランプ氏は4日、中国の習近平国家主席と電話会談し、関係安定化を重視することで一致。習氏はこれに先立ち、プーチン氏とオンラインで協議した。条約失効に伴い、核保有国間での意思疎通を深める狙いがあったとみられる。
 米国と旧ソ連の間で1991年に調印された第1次戦略兵器削減条約(START1)を引き継ぐ枠組みとして、オバマ米大統領とメドベージェフ・ロシア大統領(いずれも当時)が2010年に新STARTを締結。戦略核弾頭の配備数を1550発以下に削減することなどを定めた条約は翌11年2月に発効した。
 トランプ氏は1期目に延長を目指したが実現に至らず、バイデン前大統領とプーチン氏が21年1月に5年延長で合意した。だが、ロシアのウクライナ侵攻(22年2月)に伴い米ロ関係が悪化すると、ロシアは23年2月に条約の履行停止を発表。米側も義務付けられていた情報提供をやめ、条約の形骸化が進んでいた。 
〔写真説明〕写真左から中国の習近平国家主席、トランプ米大統領、ロシアのプーチン大統領(EPA時事)