メークやエステ、高齢者笑顔に=「介護美容」、じわり拡大―生活の質向上や社会参加も

医薬品マーケティングの変化とは

 高齢者施設などでお年寄りにメークやエステを施し、生活の質向上や社会参加につなげてもらう「介護美容」が広がっている。介護の知識やメークの手法を学ぶ養成スクールもあり、運営会社代表は「利用者の笑顔が増えるなどし、施設全体の満足度向上にもつながっている」と話している。
 介護美容は徐々に広がっており、一般社団法人「日本介護美容セラピスト協会」(大阪市)は各地で高齢者のハンドケアなどのセミナーを年100回以上開く。人材の養成スクール「介護美容研究所」は2018年に東京・原宿で開校し、今年1月時点で全国に8校を展開する。
 介護美容研究所では、認知症の人との接し方やしわやしみを目立たなくするメーク、弱い肌に合わせたエステなどを学ぶ。昨年11月にさいたま市の介護付き老人ホームで行われた実習には生徒約20人が参加。高齢者に手足のマッサージを実施し、入居者の女性(91)は「いい気持ちです」と笑顔を見せた。男性(88)も「手がすべすべになった」と顔をほころばせた。
 参加した介護福祉士新津綺音さん(25)=長野県=は、祖母の体験がきっかけで介護美容を学び始めた。祖母はデイサービスに通いたくないと話していたが、眉毛のメークを自分ですることで、気持ちが前向きになったという。新津さんは「美容は行動の活力になると感じた」と語る。
 介護美容研究所の運営会社は、高齢者施設での訪問美容サービスにも取り組む。22年度の利用は206施設だったが、23年度は448施設、24年度には532施設と増加が続く。
 高齢者は加齢で手足の機能が弱まり、それまで行ってきたメークやスキンケアができなくなることも多い。運営会社の山際聡代表(47)は「当たり前だったことを続けられるのが介護美容が選ばれる理由では」と話した上で、「利用者だけでなく、家族にも前向きな変化をもたらしている」と効果を強調した。 
〔写真説明〕施設利用者にハンドケアをする介護美容の実習生(左)=2025年11月、さいたま市見沼区
〔写真説明〕施設利用者にフットケアをする介護美容の実習生(右)=2025年11月、さいたま市見沼区