海自の護衛艦は「いずも」など名前がすべてひらがな表記です。漢字のほうが強そうですが、なぜひらがななのでしょうか。最新艦の話題とともにそのナゾに迫ります。いったい、どういうことなのでしょうか。
護衛艦の名づけに関する公式ルールと知られざる命名基準
海上自衛隊の護衛艦を見渡すと、「いずも」「かが」「こんごう」といった具合に、その名称がすべて“ひらがな”で表記されていることに気づきます。漢字の「金剛」や「加賀」のほうが強そうなイメージがありますが、なぜ漢字を使わないのでしょうか。
じつは、自衛艦の名称については防衛省の訓令によって、名付けの基準が定められています。また、船体に記す艦名の書体や位置などの標記方法についても、海上自衛隊の「達」で定められています。
いっぽう、艦名表記に関して、ひらがなの使用に関する具体的な理由は明記されていません。一般的には「読みやすくする(視認性を高める)ため」や「柔らかいイメージ(親近感)を与えるため」「旧軍のイメージを払拭するため(旧海軍艦艇は漢字を使用)」といった説が語られますが、あくまでも推測の域を出ないのが実情です。
なお、表記はひらがなですが、名付け自体には厳格な基準が存在します。護衛艦の場合、天象や気象、山岳、河川、あるいは地方の名前から付けることになっており、さらに大型艦、汎用護衛艦、小型艦などで統一が図られています。
こうしたルールのなか、先日、新たな護衛艦が誕生しました。2025年12月22日、三菱重工長崎造船所において、もがみ型護衛艦の12番艦が命名・進水式を迎えました。その名は「よしい」です。
この名称は、岡山県を流れる「吉井川」に由来しています。旧海軍から現在の海上自衛隊に至るまで、初めて採用された艦名となりました。なお、命名式には小泉進次郎防衛大臣も出席し、大きな注目を集めました。
自衛艦の分類が変わる ついに“巡洋艦”が登場か?
護衛艦の名称をめぐっては、最近になって驚きのルール変更も行われました。2024年10月28日に施行された最新の「防衛省訓令第317号」により、船舶の区分が新設されたのです。
この改正における最大の注目点は、艦種をあらわす記号に「CG(巡洋艦)」や「CVM(多目的空母)」という区分が新たに追加されたことです。
これまで海上自衛隊の戦闘艦艇は、その目的から「護衛艦」という呼称を中心に運用されてきました。2026年1月時点で、実際に「巡洋艦」や「空母」という区分を冠した船が就役したわけではありませんが、ルール上にこれらの名称が明記されたことは、大きな関心を集めています。
「ひらがな表記」という一見シンプルな決まりの裏には、名称を決めるための「訓令」と、標記方法を決めるための「達」という、二重の組織的なルールが存在しています。
最新艦「よしい」の誕生や、新たな艦種記号の導入など、自衛艦の名称を取り巻く動きは、現在も続いています。次に登場する新艦にどんなひらがなの名前が付けられるのか、そして新たな艦種記号が今後どのように運用されるのか、注目が集まっています。