五輪招致再開へ「重要局面」=活動停止の札幌、今後の展望は

 札幌市が冬季五輪・パラリンピックの招致活動を停止してから2年以上が経過した。2021年東京五輪を巡る汚職・談合事件の影響で冷え込んだ国内の五輪招致熱を呼び戻し、再び招致活動に踏み出すには9月開幕の愛知・名古屋アジア大会がまずポイント。日本オリンピック委員会(JOC)の橋本聖子会長は「大変重要な局面を迎える」と気を引き締める。
 札幌市は21年までは30年冬季大会開催地の最有力候補だった。東京五輪の汚職・談合事件が表面化して状況が一変。30年招致を断念して34年以降に切り替えたが、国際オリンピック委員会(IOC)に見放された。
 IOCは24年、開催地を30年はフランスのアルプス地方、34年は米ソルトレークシティーに同時決定。38年もスイスと27年まで優先的に協議することになっている。JOCにはアジア大会を成功に導き、日本の大規模国際大会の開催能力を世界に示して将来的な五輪招致につなげたい思惑がある。
 気候変動の影響で、冬季五輪を開催できる地域は今後さらに減少する見込み。安定した降雪と1972年冬季五輪をはじめとした国際大会の開催実績がある札幌市は信頼度の高い候補地で、IOC関係者は「札幌でやりたいという声は大きい」と認める。38年候補のスイスには課題がある。競技会場が広域に分散して八つの選手村に分かれる可能性があり、IOCは評価報告書でコストが大幅に増加するリスクを指摘した。
 橋本会長は五輪招致について、「『声には出せないが、できるならやってもらいたい』という声の方が圧倒的(に多い)」と語る。札幌市の経済界からは、招致活動再開を望む声が上がり始めており、同会長は慎重な姿勢を示しつつ、「『ともしび』を消さないでいただいていることは非常にありがたい」と前向きに受け止める。
 ミラノ・コルティナ五輪はイタリア北部の四つの会場群にまたがる分散開催。新たな大会の形を検証する機会となる。「分散型」が基準の一つになれば、日本における招致活動も札幌以外の地域との連携や、国内全体の機運醸成がより求められることになりそうだ。 
〔写真説明〕札幌市で例年開催されているスキージャンプのワールドカップ(W杯)で飛躍練習に臨む選手=2025年2月14日、札幌市(AFP時事)