都市部展開、高まるICE批判=トランプ米政権の移民取り締まりで強圧手法―肥大化する組織に解体要求も

 【ワシントン時事】米中西部ミネソタ州で不法移民取り締まりに当たっていた移民税関捜査局(ICE)や国境警備隊の捜査官に市民が相次いで射殺されたことから、「武装組織」として都市部に展開するこれら当局への反感が高まっている。とりわけICEは不法移民対策を最優先課題に掲げる第2次トランプ政権下で肥大化しており、廃止を求める声も上がり始めた。
 「法執行官を虐殺しようとしていたように見える」。同州ミネアポリスで24日に国境警備隊の捜査官に看護師の男性が射殺された直後、同隊の「広域担当司令官」を名乗るグレゴリー・ボビーノ氏は正当防衛だったと強弁した。SNSなどで拡散した映像では、地面に押さえ付けられ抵抗できない状態だった男性は、10回近くも銃撃を受けていた。
 ボビーノ氏はこれまでも中西部シカゴや南部ニューオーリンズなど都市部を「転戦」し、不法移民かどうかを確認せず身柄を拘束するといった強圧的手法を取ってきた。ミネアポリスでは、男性殺害の約2週間前にも当局の動向を監視していたとされる女性がICE捜査官の銃撃を受け死亡した。
 ただ、一連の問題の原因は個人ではなく組織そのものにあるとみられている。ICEや国境警備隊はデモ対応の経験に乏しく、都市部への展開では市民とのあつれきを招きやすいためだ。
 それにもかかわらず、組織は膨張している。ICEの予算は年約100億ドル(約1兆5000億円)だが、昨年成立した大型減税関連法により向こう4年間で約750億ドル(約11兆5000億円)が上積みされる。政権発足以来、ICEの人員は1万人から2万2000人に倍増された。採用広告で白人至上主義者や極右支持層の関心を引きやすい表現を使っているとの指摘もある。
 ユーガブ社が男性看護師の死亡直後に実施した世論調査では、46%がICE廃止を支持すると回答した。連邦議会では、ICEと国境警備隊を傘下に収める国土安全保障省のノーム長官の解任に与党共和党の一部議員も賛同。批判を鎮めたい政権は、ボビーノ氏に代えてホワイトハウス高官をミネソタに送り込み、約3000人態勢の捜査官の規模を縮小する構えを見せている。 
〔写真説明〕28日、米中西部ミネソタ州ミネアポリスで、不法移民取り締まり中の捜査官に殺害された男性を悼む催しに参加する人々(AFP時事)