【インタビュー】佐野航大「見る側から、次は出る側に」オランダで評価高める“マルチロール”が狙う夢舞台

 この男に、今やできないポジションはない。プロ入り後、フィールドプレーヤー全ポジションをこなす万能性を発揮。佐野航大は国内外で急速に評価を高め、ステップアップ移籍の噂も絶えない状況だ。

 昨年には待望の日本代表デビューも果たした。「『日本代表に入りたい』という気持ちはすごく強くなりました」と率直に語る。見据えるはFIFAワールドカップ26という夢舞台。その初戦の相手は、自身が現在プレーするオランダだ。「注目度も高い試合ですし、オランダ戦に出場したい」。勝負の2026年へ、覚悟はすでに固まっている。

取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
取材協力=アディダス

――まずは単刀直入に聞きます。佐野選手ができないポジションはありますか?
佐野 今季はセンターバックもやったので、これでGK以外のポジションはプロ入り後にすべて経験しました。自分は8番(攻撃的MF)のポジションが好きなので、しっかりと突き詰めて成長したいという思いもあります。(ポリバレントさは)武器になるかもしれないですけど、良い面も悪い面もあるというのが正直な感想です。

――第4節のシッタート戦では、3バックの中央でプレーしました。
佐野 ビックリしました。練習ではちょくちょくやっていたんですけど、試合日に「今日はセンターバックだから」と言われて「えっ?」とはなりました(笑)。センターバックの中央は難しかったですね。

――NEC加入3季目で公式戦77試合に出場しています。それがオランダ国内での高評価につながっていると思います。
佐野 ケガや途中交代もありましたけど、若い年齢でコンスタントに試合に出続けることはすごく大事なことだと思っています。本当に良い経験ができていると思いますし、ポジションを奪われないように、これからも気を抜かずやっていきたいです。

――NECに馴染めた理由の一つに同じ日本人選手の存在もあったかと思います。
佐野 日本人が3人いるのは珍しいと思いますが、国籍関係なくみんな仲良いです。みんなすごくフレンドリーですし、優しく接してくれます。加入した時点で(小川)航基くんがいたことはすごく心強かったです。(塩貝)健人も入ってきて、みんなで食事に行ったりもします。そういった意味で安心感はありますね。

――塩貝選手は今季ここまで7得点をマークしています。注目度も日に日に高まってきていると思うのですが、佐野選手から見てどんなプレーヤーですか?
佐野 身体能力も高いですし、ゴリゴリ系かと思いきや、しなやかさもある。ドリブルもできるので、何でもできるFWという印象です。今季は連続ゴールも決めたりしているので、もっとアシストを付けてあげられるように頑張りたいです。

――同じストライカーの小川選手もここまで6得点を決めています。小川選手はいかがですか?
佐野 航基くんは感覚タイプのFWなのかなと思っていたのですが、ボックス内の動きなどすごく考えてプレーしています。考えながらプレーすることが、ゴールにつながっていると思います。FWの2人には尊敬しかないですね。

――昨年6月に日本代表デビューを飾りました。大きな一歩目を踏み出したと思うのですが、改めて振り返っていかがですか?
佐野 6月にデビューをすることができて、9月も追加招集で呼んでいただけました。ただ、9月のアメリカ遠征で試合に出られなかったことは、すごく悔しかったです。「日本代表に入りたい」という気持ちはすごく強くなりましたし、そのためにチームでもっともっとやらないといけないなと感じています。

――代表デビュー戦では兄・佐野海舟選手と中盤でコンビを形成しました。より忘れられない試合になったと思いますが、いかがですか?
佐野 兄と一緒にプレーすることは夢でした。ただ、あまりそういったことを考える余裕がなかったのも正直なところです。自分のプレーに集中して、自分がここで何を残すことができるのかにフォーカスしていました。その夢を実感する余裕まではなかったですね。

――FIFAワールドカップ26まで約半年です。カタール大会の際にはトレーニングパートナーに選出されていましたが、コロナ禍の影響で実現はしませんでした。
佐野 トレーニングパートナーに選ばれたと聞いた時は、すごく嬉しかったです。いろいろな選手のプレーを見て盗んでやろうと思っていたのですが、コロナの影響は仕方ないなと……。けど、行きたかったです。

――ドイツ代表戦、スペイン代表戦はどうご覧になっていましたか?
佐野 日本の強さを証明したと思います。日本中が盛り上がって一つになった。これまでは見る側でしたが、次は出る側になって、その強さをもう一度証明したいです。

――本大会のメンバー入りに向け、勝負の2026年となります。
佐野 その気持ちは強いです。まずは3月の活動に呼ばれないと、その先はないと正直思っています。この3カ月は勝負ですし、すごく大事な期間だと思うので、しっかり積み上げてやっていきたいなと思います。

――初戦の相手は現在プレーするオランダです。チームメイトの反応はいかがでしたか?
佐野 チームメイトからも「一緒のグループに入ったね」という話もありました。「オランダが勝つ」と言ってくる選手もいましたが、日本のことを警戒している選手も結構いたなという印象です。注目度も高い試合ですし、オランダ戦に出場したいです。

――ちなみにJ1初挑戦となった古巣・ファジアーノ岡山についてはいかがですか?
佐野 結果は常に追っています。自分はファジアーノから世界に行った身です。ファジアーノでの経験があったからこそ、今があると思っています。これからも追っていきたいなと思っています。

――ホームゲーム全試合でのホームエリアチケット完売でした。これは本当にすごいことだと思います。
佐野 すごいですよね! 地元の友達も「行きたいけどチケットが取れない」と言っていました。「航大、取れないか?」と言われるんですけど「いや、俺でも取れない」と(笑)。

――ファジアーノと佐野兄弟飛躍の2026年にしていきたいですね!
佐野 そうですね。自分たちが活躍して、もっと岡山を盛り上げていきたいです!

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