信号待ちなどで隣に並んだ路線バス。ふと屋根の上を見上げると、大きな「箱」や「コブ」のようなものが載っていませんか。実はあの中には、その時代の最新技術が詰まっています。屋根を見ればバスの正体がわかるようです。
屋根を見れば「中身」がわかる
路線バスの屋根の上には、なにやらコブのような大きな物体が載っていることがあります。一見「謎の出っ張り」に思えますが、あのコブの正体、実はバスの技術進化の歴史と+密接に関係している部分でもあります。
まず、最もよく見かける「四角くて平たい箱」のような形。これは「エアコン(冷房装置)」の室外機です。
昔のバスは床下にエアコンの機器を積んでいましたが、お年寄りや車いす利用者が乗り降りしやすい「ノンステップバス」を開発する際、別の場所に移設する必要がありました。
床下のスペースから追い出されたエアコンが屋根上に引っ越した、というわけです。つまり、あのコブはバスのバリアフリー化の証ともいえます。
次に、エアコンよりも明らかに背が高く、丸みを帯びた「カマボコ」のような形をした巨大なコブ。白いカバーで覆われていることが多いですが、これは「圧縮天然ガス(CNG)」の燃料タンクです。
なぜ重いタンクをわざわざ屋根に載せるのでしょうか。
天然ガスは空気よりも軽いため、万が一ガス漏れが起きても空へ逃げるように、一番高い場所、すなわち屋根の上が、安全性を鑑みて定位置になっているのです。
かつてディーゼル車の排ガスが社会問題化した時代、CNGは「クリーンなバス」の切り札として大都市を中心に普及しました。
しかし現在は、ディーゼルエンジンの性能向上やEV化の流れで生産が終了しており、街で見かける機会も減りつつあります。この大きなコブは、環境対策に奮闘した一時代の名残といえるでしょう。
「コブが2つ」ならハイブリッド?
さらに、屋根の上にコブが「2つ」載っているバスもあります。これは日野自動車製などの「ハイブリッドバス」によく見られる特徴です。
このタイプでは、前方のコブの中に重たい「バッテリー(蓄電池)」、後方のコブに「エアコン」を積んでいます。重い機器を屋根に分散して載せることで、車内の広さを確保しているのです。
ただし最近は、いすゞ製のようにバッテリーを車内に収め、屋根のコブはエアコン1つだけ、という「見た目は普通」なハイブリッドバスも走っています。
そして最新の燃料電池バス、トヨタ「SORA」などは、屋根全体が角張った近未来的なカバーで覆われています。この中には水素タンクなどが収められており、デザインの一部として一体化されています。
「人間を快適にする(エアコン)」から「空気をきれいにする(CNG)」、そして「エネルギーを効率よく使う(ハイブリッド/EV)」へ。
バスの屋根は、技術進化の展示場です。次に見かけたときは、「おっ、君はハイブリッドだな」「懐かしのCNG車だ」と、屋根の上へ視線を移してみてください。新たな発見があるかもしれません。